極小未熟児へのビタミンA補充療法

Vitamin A supplementation in very low birthweight infants

Darlow BA, Graham PJ

最終更新日:12/08/1998


目的:極小未熟児へのビタミンA補充療法の有用性を評価すること.

検索方法:検索はOxford Database of Perinatal Trials, MEDLINE, コクラン比較臨床試験レジスター, Science Citation Indexでなされた.また関連する臨床試験の参考文献,小児科や栄養分野の最近発行された雑誌,英語でおこなわれた関連学会の要旨や学会抄録もハンドサーチした.

選択基準:出生体重が1,500g以下である新生児に対してビタミンAを補充する群と通常の投与を行う群を比較したランダム化比較試験で,臨床的指標(死亡,慢性呼吸器疾患,気管肺異形成)やビタミンAの濃度を報告しているものがこのレビューで検討された.

データ収集と解析:それぞれのレビュアーが独立して,死亡率,生後一ヵ月の時点での酸素補充の必要性,未熟児網膜症のデータを引用した.データ解析はコクラン新生児レビューグループの基準にしたがっておこなった.

主な結果:5つの適格な試験が確認された.メタ・アナリシスでは,ビタミンA の補充により生後一ヵ月の死亡や酸素補充の必要性が減少しており,ビタミンA の補充を支持している.[RR 0.75(0.60,0.94), RD -0.191(-0.331,-0.051), NNT 5.2(3.0,19.6)] また未熟児網膜症について報告した2つの研究のメタ・アナリシスでは,ビタミンAを補充した新生児で発生率が減少する傾向であることを支持している.

結論:この結論は対象とした新生児が少なく,出生前にステロイドやサーファクタントをルーチン使用しているが,極小未熟児にビタミンAを補充することは,死亡や生後一ヵ月の酸素補充の必要性を減少させることと関係がある.ビタミンAの大量投与についての効果と安全性については今後の試験で評価するべきである.


Citation: Darlow BA, Graham PJ. Vitamin A supplementation in very low birthweight infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:鶴岡優子/橋本 淳)