脳室内出血後の新生児への脳室内ストレプトキナーゼ投与

Intraventricular streptokinase after intraventricular hemorrhage in newborns

Whitelaw A

最終更新日:27/07/1997


目的:脳室内出血後の脳室内ストレプトキナーゼ投与が,将来もしくは現在,出血後水頭症(PHH)を起こしつつある新生児の恒久的なシャントへの依存,神経発達障害,死亡のリスクを減少させるかどうかを評価する.この治療方法は,脳脊髄液中の多発する凝血塊が脳室内出血後の脳室拡張の第一義的な原因であり,この凝血塊が溶解することによって,髄液循環経路の再開通および脳脊髄液の再吸収がなされるといった仮説に基づいている.

検索方法:Pediatric,Neurosurgical and General Medical Journalsは,1976年以降のものからハンドサーチ.MEDLINEデータベースからも同様に検索された.個人的な接触も行われた.


選択基準:一つのランダム化試験が,脳室内出血後の脳室拡張を起こしつつある新生児への脳室内ストレプトキナーゼ投与について評価した.

データ収集と解析:関連した患者選択,患者割付け,患者への処置の詳細が抽出された.エンドポイントは以下のとおり:脳室腹腔シャント,死亡,髄膜炎,二次性出血.

主な結果:脳室内出血後の脳室拡張への脳室内ストレプトキナーゼ投与と,従来からの方法と比較すると,児死亡数とシャントに依存する児の数は,両者のグループで全く同じであった.障害に対する脳室内ストレプトキナーゼ投与の効果については入手できる情報がなかった.(脳室内投与は)髄膜炎や二次性脳室内出血の原因として関係すると思われるが,これを証明するには症例数が不十分であった.

結論:ストレプトキナーゼによる脳室内線維素溶解剤投与療法は,現在の方法では脳室内出血後の新生児には勧められない.症候のある頭蓋内圧上昇例にのみ,脳脊髄液ドレナージするといった従来の方法が,適切に思われる.


Citation: Whitelaw A. Intraventricular streptokinase after intraventricular hemorrhage in newborns. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:安西邦男/佐藤孝道)