分娩第3期の管理におけるプロスタグランジンの使用

Prostaglandins for management of the third stage of labour

Gulmezoglu AM

最終更新日:07/07/1998


目的:分娩第3期のプロスタグランジンの予防的投与の有用性を評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループが開発した検索方法を使用した.

選択基準:分娩第3期の管理としてプロスタグランジン製剤と他の子宮収縮剤または予防的子宮収縮剤投与なし(非投与またはプラセボ)とを比較したすべてのランダム化または準ランダム化比較試験を候補とした.

データ収集と解析:このレビューの主なアウトカムは,分娩第3期の出血や,子宮収縮剤の追加や輸血を要するというような出血に関する他の臨床的指標とした.治療の副作用,除外するもの,追跡からの脱落,出血の測定法や第3期の管理方法についてのデータも系統的に抽出した.

主な結果:プロスタグランジンの注射製剤は他の子宮収縮剤に比べ,出血量を減少し(平均72mlの減少),第3期の時間を短縮した(平均3.5分減少).重症な産後出血(PPH)(出血量1000ml以上)は4研究中2研究にみられ,プロスタグランジン投与した婦人は少なかった.それは統計学的な有意差はなかった(4/128対11/141, RR 0.41, 95%CI 0.14-1.20).副作用(嘔吐,下痢や腹痛)は重篤でなかったが,他の子宮収縮剤と比較してプロスタグランジンで多くみられた.

結論:有効であるが,プロスタグランジンの注射製剤は費用や安全性を考慮すると分娩第3期のルーチン治療としての使用(予防的使用)には適していない.しかし他の測定項目で評価されなくても,プロスタグランジンの注射製剤はPPH治療として使われ続けるべきである.

この領域の今後の研究は,ミソプロストールに焦点をあてるべきである.この薬剤は錠剤で製造され,安く,安定性があり,安全と考えられ,また冷蔵を必要としないからである.


Citation: Gulmezoglu AM. Prostaglandins for management of the third stage of labour. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:鶴岡優子/橋本 淳)