妊娠中の無症候性細菌尿の治療期間

Duration of treatment for asymptomatic bacteriuria during pregnancy

Villar J, Lydon-Rochelle MT, Gulmezoglu AM

最終更新日:16/10/1997


目的:妊娠中の無症候性細菌尿の様々な治療期間の臨床上の有効性を決定すること.

検索方法:このレビューはコクラン妊娠と出産グループのために開発された検索方法によっている.集められた参照論文のリストはチェックされ,そしてThe Cochrane Controlled Trials Resister(1997 version4)のseparate searchは,'asymptomatic and bacteriuria and pregn*'という単語を用いて実行された.

選択基準:無症候性細菌尿と診断された妊婦を集めた試験はこのレビューに組み込む候補にした.研究は期間の異なった抗生物質治療法のランダム化,あるいは準ランダム化比較である必要があった.主に注目したことは,1回投与法をより長い期間の治療法と比較することであった.

データ収集と解析:データは著者によって別々にそれぞれの出版物から抽出され,分析する前に共同してレビューされた.判定者は記事の著者や出典を見ることができた.早産,腎盂腎炎と細菌学的治療の主な結果の評価方法に加えて,ランダム化後の除外,追跡からの脱落,試験の大きさ(登録した人数),試験のセッティング(例えば,国籍,社会経済的状態,クリニックのタイプ,医療提供者),そして行った治療の詳細な記述のような,試験のその他の重要な要素が系統的に抽出された.

主な結果:7つの試験がこのレビューには含まれた.全ての試験は1回投与法と4〜7日間の治療との比較で,1990年よりも前に出版されており,そして全体で100人以上の婦人が含まれているものはなかった.早産と腎盂腎炎は2つの試験でのみ報告されており,有意差はなかったがばらつきが大きかった.治癒しない率のメタ・アナリシスでは,試験間で有意な異質性が認められ(chi-square 19.03, df 6, Z 0.76),それゆえ2つの治療法間で似た効果を示唆する全体の結果は十分に注意して解釈しなければならない.

結論:このレビューの実際的な意味は,妊娠中の無症候性細菌尿の結果として起こる疾病を予防する1回投与の抗生物質治療の有効性が,臨床的価値としては魅力的だが,証明も確立もされていないことを心に留めて,臨床医は現在の治療を継続するべきであるということである.この結果は,1回投与の抗生物質治療(たぶん新世代の抗生物質による)は,早産,腎盂腎炎,治癒率と再感染の予防という観点において,より長い期間の治療法と同程度の効果があるかどうか試験する適切にデザインされたランダム化比較試験が強く必要だということを示している.


Citation: Villar J, Lydon-Rochelle MT, Gulmezoglu AM. Duration of treatment for asymptomatic bacteriuria during pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:水谷武夫/佐藤孝道)