成人の高血圧のコントロールのための食餌療法による減量

Weight-reduction through dieting for control of hypertension in adults

Brand MB, Mulrow CD, Chiquette E, Angel L, Cornell J, Summerbell C, Anagnostelis B, Grimm R Jr

最終更新日:20/07/1998


目的:体重減少させるような食餌療法が,通常の食餌療法あるいは他の降圧療法よりも,成人の高血圧患者の血圧コントロールや罹患,死亡の予防について効果があるか評価する.

検索方法:MEDLINEとコクラン・ライブラリで1997年11月まで検索された.その分野の専門家が知っている研究については1998年6月まで含めた.

選択基準:このレビューに包含されるためには,以下に記した基準をそれぞれ満たす必要がある.1)ランダム化比較試験であり,一群は体重減少させる食餌療法,他の群が一般的な食餌療法あるいは降圧療法,2)外来の成人患者であり,平均的な収縮期血圧が140mmHg以上もしくは拡張期血圧が90mmHg以上,3)体重を減らすことを目的としたカロリー制限食からなる積極的な介入.(ただし,同時に複数のライフスタイルの介入を実施した研究については体重減少という介入の効果の評価ができないので除外した.),4)評価項目に体重減少と血圧を含んでいる.

データ収集と解析:当レビューのためにデザインした標準形式を使用し,それぞれの研究を二人の独立したレビュアーが2重にまとめた.主要な解析変数は質的なもので,個々の研究の効果サイズを示すグラフも使用した.

主な結果:18個の試験が見つかった.罹患率や死亡率をアウトカムとして報告するには不十分な検出力で小規模な研究が一つだけあった.QOLや満足度を論点として提示した試験はなかった.概して,対象者は体重を減らす減量群に割り当て,対照群と比較された.

361の対象者を含む6個の試験が,減量食餌療法と一般的な食餌療法を評価したものであった.体重の4%から8%が減少すると,収縮期血圧と拡張期血圧が3mmHg低下するということが示唆された.363の対象者を含む3個の試験は,減量食餌療法と降圧剤による治療とを評価したもであった.これらの結果では,降圧剤による段階的な治療が減量食事療法よりも血圧を減少(収縮期/拡張期=6/5mmHg)させた.対象者の降圧療法を補正すると,減量食餌療法をすると降圧剤の強化療法を必要とする人が少ないことが示唆された.減量に対するナトリウムやカリウム摂取,あるいは運動の変化などの効力の関係を決定するにはデータは不十分であった.

結論:肥満の高血圧患者における減量食餌療法は,体重の3%から9%の適度な減少と,恐らくそれに関連して収縮期と拡張期血圧を約3mmHgを低下させる,という影響を与える.減量食餌療法は降圧剤内服中の患者の薬の必要量を減少させる可能性がある.


Citation: Brand MB, Mulrow CD, Chiquette E, Angel L, Cornell J, Summerbell C, Anagnostelis B, Grimm R Jr. Weight-reduction through dieting for control of hypertension in adults. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:鶴岡浩樹/橋本 淳)