急性虚血性脳卒中におけるビンポセチン

Vinpocetine in acute ischaemic stroke

Bereczki D, Fekete I

最終更新日:01/07/1997


目的:脳卒中発症から2週間以内にビンポセチンを投与された場合,短期,長期の致死率や支援・介護を要する生存者の比率が減少するか否かを判定する.

検索方法:コクラン脳卒中レビューグループの標準的な検索方法によって研究を選んだ.これに加えて,ビンポセチンの製造コード名,商品名を判るものは全て用いてMEDLINEで検索した.おそらく比較試験と思われるロシアの出版物と同様に日本で出版された論文の英語版も得られた.脳卒中に関するビンポセチンのすべてのランダム化比較試験に関する情報を提出するよう,ビンポセチンの製造業者に要請した.ビンポセチンの試験に参加したハンガリーの研究者にさらなる情報を求めた.

選択基準:発症から14日以内に治療を開始した急性脳卒中において,ビンポセチンの効果をプラセボや他の標準的治療と比較した,明確なランダム化臨床試験のみ採択した.

データ収集と解析:二人の評価者が独自に,レビューされる試験を選択した.レビューされる試験について合意すると,評価者の一人がデータを抽出し,分析した.もう一人がデータ抽出の精度を確認した.包含する研究のランダム化や盲検化の方法,CTの施行, 経過観察中の患者の脱落, intention-to-treat 解析についての記述という方法論的な質を表にあらわした.データの統合と分析はコクランReview Manager(RevMan version 3.0)を用いて行った.

主な結果:レビューに含まれる選択基準を満たすものは1例のみであった.この研究には40名の患者が参加し,そのうち33名のみのデータが提示され,intention-to-treat 解析は行われていなかった.死亡例はなく,支援・介護の必要性についても治療群とプラセボ群の間で統計学的な有意差は見られなかった.有害作用の報告もなかった.

結論:1つの小規模なランダム化比較試験だけでは,ビンポセチンの投与によって急性脳卒中の致死率や支援・介護の必要性が減少するということを決定付ける十分な証拠が得られているとは言えない.


Citation: Bereczki D, Fekete I. Vinpocetine in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/関口聡子,八森 淳)