新生児の同期式人工換気

Synchronized mechanical ventilation in neonates

Greenough A, Milner AD, Dimitriou G

最終更新日:18/02/1998


目的:(1)高頻度陽圧呼吸またはトリガー換気(患者トリガー換気(PTV)または同期式間欠的強制換気(SIMV))として行われる同期式人工換気の効果を通常の人工換気と比較すること.

(2)トリガー人工換気の違う様式をそれぞれ比較すること.

検索方法:周産期試験のオックスフォード・データベース,MEDLINE(MESH term; mechanical ventilation, triggered ventilation: newborn infant),以前のレビュー,要約,学会の抄録,英語の雑誌のハンドサーチ,連絡をとった専門家の情報,を調査した.

選択基準:新生児において,高頻度陽圧呼吸(HFPPV)またはトリガー換気として行われる同期式人工換気(PTV/SIMV)を通常の人工換気(CMV)と比較したランダム化または準ランダム化臨床試験.新生児において違うトリガー換気(PTVとSIMV)の方法を比較したランダム化試験.

データ収集と解析:死亡率,エアリーク(気胸または間質性肺気腫(PIE)),重症の脳内出血(grade3とgrade4),慢性肺疾患(28日を越えて酸素が必要),人工換気離脱/人工換気の期間を含む臨床結果についてのデータ.

データは3群に細別された: (i)HFPPV対CMV; (ii)PTV/SIMV対CMV; (iii)PTV対SIMV

コクラン新生児レビューグループの基準に従って,データの解析がなされた.

主な結果:CMVと比較してHFPPVはエアリークの危険が減少することと関連することが,メタ・アナリシスにて示された(典型的相対危険度0.68, 95%CI 0.55, 0.68).CMVと比べてPTV/SIMVは人工換気の期間が短くなることと関連した(重み付け平均差-45.2時間,95%CI -78.3, -12.1).SIMVと比較してPTVは,人工換気離脱の時間が短い傾向にあった(重み付け平均差42.4時間,95%CI-9.6, 94.4-).他の結果に関して,HFPPVとトリガー人工換気の不利益はみられなかった.

結論:通常の人工換気と比べて,HFPPVとトリガー人工換気とも,エアリークの減少,人工換気の期間短縮に関してそれぞれ有用性があることが示された.複雑な呼吸器モニタリングがなされた研究はなく,それ故にこれらの有用性をつくりだすメカニズムが,同期式換気の誘発によることを導き出すことは不可能である.さらなる試験で,同期式換気が慢性酸素依存の減少に関連するか否かを決定する必要がある.


Citation: Greenough A, Milner AD, Dimitriou G. Synchronized mechanical ventilation in neonates. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:高口恵子/佐藤孝道)