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肺機能不全のある早期産児における救急高周波振動換気と通常の人工換気の比較

肺機能不全のある早期産児における救急高周波振動換気と通常の人工換気の比較

Rescue high frequency oscillatory ventilation vs conventional ventilation in preterm infants with pulmonary dysfunction

Bhuta T, Henderson-Smart DJ

最終更新日:19/12/1997


目的:高周波振動換気(HFOV)が,人工換気中の肺傷害を減少することを実験研究では示唆している.このレビューの主な目的は,通常の人工換気と比べてHFOVを使用することで,極めて重症な肺疾患があり,そのため肺のエアリークのハイリスクである早期産児を,副作用なしに救うことが可能であるという仮説を試験することである.

検索方法:1980年から1997年のMEDLINEで,MeSHとtext termに"high frequency ventilation","high frequency oscillatory ventilation","oscillatory ventilation"で検索したすべてのランダム化比較試験が調査された.EMBASE,周産期オックスフォード・データベースとコクラン新生児レビューグループによって同定された試験もまたレビューされた.この分野の専門家や,研究の参照文献,最近の学会の抄録からも,情報を求めた.

選択基準:重症の肺機能障害のある早期産児において,救急治療として,HFOVとCVを比較したランダム化比較試験

データ収集と解析:コクラン新生児レビューグループの標準的なレビューの方法が使われた.これには,独立した質の評価と,第二著者よるデータの抽出が含まれる.相対危険度(RR),危険度差(RD),number needed to treat(NNT)が使われた.

主な結果:研究はたった1つのみ認められ,それでは,新しい肺のエアリーク(PAL)の減少がみられた[RR0.73(0.55, 0.96), RD-0.174(-0.321, -0.027)].PALをもつ新生児を1人防ぐために治療を必要とする新生児数(NNT)は6人である(95%CI3, 37).PIEと,気縦隔や気胸のような大きな肺エアリークの率に差はなかった.生後30日での死亡率とIPPVの使用は,HFOVとCV群とで同様であった.

脳室内出血(IVH)はどのグレードでもその率は,HFOVで治療した新生児で増加した,RR1.77(1.06, 2.96), RD0.156(0.020, 0.291).すなわち,救急HFOVの治療をうけた新生児6人毎に1人がどのグレードかのIVHを引き起こした.もっと重症なグレード3または4のIVHでは,有意差はないが,強い上昇傾向を認めた.

結論:緊急HFOVの使用を臨床実地で勧めるに足る充分な情報はない.存在する小規模のデータは,有効性より副作用がより重大であることを示唆している.重症のRDSのある早期産児に対する救急治療としてのHFOVの将来的な使用は,ランダム化比較試験でなされるべきであり,より長期の呼吸器や神経学的機能のような重大な結果について述べられるべきである.


Citation: Bhuta T, Henderson-Smart DJ. Rescue high frequency oscillatory ventilation vs conventional ventilation in preterm infants with pulmonary dysfunction. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野利枝/佐藤孝道)