嚢胞性線維症における経口的カロリー補給

Oral calorie supplements in cystic fibrosis

Smyth R , Walters S

最終更新日:05/02/1998


目的:嚢胞性線維症(CF)の患者において,経口的カロリー補給(OCS)は毎日のカロリー摂取を増加させ,総栄養摂取量,栄養指数,肺機能,生存率と生活の質を改善するという証拠を確かめること.OCSの利用に関連した起こりうる副作用を評価すること.

検索方法:広範囲な電子的データベースの検索や,関連雑誌や学会要旨集のハンドサーチより特定した参考文献より成る,コクラン嚢胞性線維症グループの比較臨床試験特別レジスタ.UDCAの販売を行なう製薬会社とも接触した.

選択基準:CF患者において,カロリー摂取を増加させるための少なくとも一カ月間OCSを利用する場合と,何ら特別な介入あるいは付加的な栄養面でのアドバイスを行わない場合を比較した全てのランダム化あるいは準ランダム化比較試験.

データ収集と解析:以下のアウトカムが評価された.栄養と成長の指数,身体組成についての測定学的計測,カロリー摂取(全体の,OCSから,食物から),栄養摂取,摂食行動,生活の質,特別な副作用,肺機能と死亡率.

主な結果:合計29人の患者からの結果を記録した2つの研究がレビューの基準を満たした.刊行された報告書に書かれたデータより,レビューの基準にあった,一つの研究での一つの項目(体重の変化)だけが抽出された.これは,介入群と対照群の間に違いがないことを示した.

結論:OCSはCF患者における栄養状態を多額のコストで改善する試みとして世界中に非常に広く利用されている.それゆえにその有効性が適当な臨床試験により評価されていないということは,非常に期待はずれである.現在利用しうる情報から,CFにおけるOCSの利用についての結論は出せず,臨床家たちは,個々の患者での決断の中で,可能性のある利益と治療上起こりうる副作用を考慮しなければならない.このシステマティック・レビューは,CFにおけるOCSの有効性と起こりうる副作用を評価する,よくデザインされた,適当な対象数の,多施設でのRCTの必要性を明らかに示している.


Citation: Smyth R , Walters S. Oral calorie supplements in cystic fibrosis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久保理恵/水野恵介)