重度の月経出血(月経過多)に対する非ステロイド性抗炎症剤とプラセボ又は他の薬物治療の比較

Nonsteroidal anti-inflammatory drugs vs either placebo or any other medical treatment for heavy menstrual bleeding (menorrhagia)

Lethaby A, Augood C, Duckitt K

最終更新日:08/05/1998


目的:重度の月経出血(HMB)を呈している生殖可能年齢女性における月経失血に対する非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)による減少効果の有効性を調査すること.

検索方法:電子的な検索としてコクラン月経異常疾患と生殖能力低下グループの比較臨床試験特別レジスター,MEDLINE,EMBASE,PsychLIT,Current Contents,Biological Abstracts,Social Sciences Index,CINAHLを検索した.レビュー文献に引用されている試験も確認し,未公表データを収集するため製薬会社にアプローチした.ほとんどのケースで,さらに多くの情報を得るためそれぞれの試験の筆頭著者にコンタクトをとった.

選択基準:採択基準は,個々のNSAIDs間,プラセボ,または他の治療を比較したランダム化試験であり,対象が定期的に重度の月経出血(HMB)を呈している生殖可能年齢女性であり,疾病によるもの,医原性(治療誘発性)の重度の月経失血は除かれた.

データ収集と解析:このレビューの組込み基準を完全に満たした16の無作為化比較試験が確認された.レビュアーはそれぞれデータを独立して抽出し,二分法的結果に対してはオッズ比を,また連続的結果に対しては加重平均差を推定した.残りの7つの試験は交差試験であり,データを蓄積するには不適切であるため,個々の結果はテキスト形式に記述した.

主な結果:グループとして,重度の月経出血の減少においてNSAIDsは,プラセボより効果的であったが,トラネキサム酸やダナゾールより効果が劣った.ダナゾールによる治療は月経期間を短縮し,NSAIDsより有害事象は多かったが,治療の妥当性には影響を与えなかった.経口避妊薬(黄体期)とエタンシラートに比べてNSAIDsがより有効である傾向は有意に示されなかった.しかし黄体ホルモンの子宮内放出システム(IUS),経口避妊薬とNSAIDsの間にも違いはみられなかった.しかし,この結果は極く小さな規模の試験の結果に基づいている.

個々のNSAIDs(ナプロキセンとメフェナム酸)間においてHMBの減少の違いは証明されなかった.

結論:HMBの減少において,NSAIDsはプラセボよりは有効であるが,トラネキサム酸やダナゾールほどは有効でない.小規模の試験が限られた数しかないため,エタンシラート,経口避妊薬,黄体ホルモン放出子宮内器具といった他の薬物治療とNSAIDsとの間には有効性に有意な差を示すほどではなかった.


Citation: Lethaby A, Augood C, Duckitt K. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs vs either placebo or any other medical treatment for heavy menstrual bleeding (menorrhagia). In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:日野村 靖/anonymous、岡田 隆)