早期産児および/または低体重の乳児に対するマッサージ療法

Massage therapy for preterm and/or low birth-weight infants

Vickers A, Ohlsson A, Lacy JB, Horsley A

最終更新日:18/05/1998


目的:マッサージをうけた早期産児および/または低出生体重児(LBW)が,標準的な治療を受けた乳児と比較して乳児の体重増加がすぐれているか,そして退院が早いかどうかを評価する.この母集団において,マッサージが別の有用な効果あるいは有害な効果を持つかを評価する.

検索方法:"massage","touch","tactile stimulation","infant-newborn","infant-premature" "infant-low birth weight"という用語を使ってデータベースを検索した.検索した主なデータベースはComplementary Medicine and the Neonatal Collaborative Review Group の Cochrane Collaboration Field であった.

選択基準:出生時の在胎週数37週未満または出生時の体重が2,500g未満で人間の手によって系統的な触覚の刺激を受けた乳児に関するランダム化試験.体重増加,入院期間,行動,発達を評価した少なくとも1つの結果が報告されていなければならない.

データ収集と解析:それぞれの試験から抽出されたデータはサンプルの基準の特徴,体重増加,入院期間,行動と発達のアウトカムである.生理学的,生化学的アウトカムは報告されていない.データは3人のレヴュアーによって独立して抽出された.標準的なコクラン共同計画の方法を使って統計的な解析がなされた.

主な結果:マッサージの介入は一日の体重増加を5g改善した(95%CI 3.5, 6.7g).やさしいおだやかな接触は利点がない(一日の体重増加は-0.2g; 95%CI -2.4, 1.9g).この結果のブラインデイングに関する方法論的な懸念はあるけれども,マッサージの介入は入院期間を4.5日短縮させるとも思われる(95%CI 2.5, 6.5).マッサージの介入が出生後の合併症と4-6ヶ月時の体重に関してわずかにいい結果をもたらすといういくつかの証拠もある.しかし,含まれている研究の方法論的な質に関する重大な懸念が,これらの知見における信用性を弱めている.

結論:発達的な結果において早期産児へのマッサージの利点の確証は弱く,早期産児マッサージを広く利用することは保証されない.現在マッサージをナースが行っているところは時間の使い方の対費用効果が高いかどうかを考慮するべきである.将来の研究は合併症,入院期間のような臨床的な結果の測定,そして介護者や親の満足といったケアの過程における結果について評価するべきである.


Citation: Vickers A, Ohlsson A, Lacy JB, Horsley A. Massage therapy for preterm and/or low birth-weight infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/加藤太一 )