婦人の慢性骨盤痛の治療

Management of chronic pelvic pain in women

Stones RW, Mountfield J

最終更新日:24/02/1998


目的:出産可能年齢の婦人の慢性骨盤痛の治療を確立し,再検討することを目的とした.レビューには骨盤内鬱滞症候群の診断の患者の研究も含めたが,1)子宮内膜症,2)原発性月経困難症(月経痛),3)慢性骨盤内感染症による疼痛,4)過敏性腸症候群に起因することがわかっている疼痛の研究は除いた.

検索方法:コクラン月経異常疾患と生殖能力低下グループによって採用された検索方法が用いられた.

選択基準:子宮内膜症,原発性月経困難症,慢性骨盤内感染症による疼痛,過敏性腸症候群を除いた慢性骨盤痛をもつ婦人に関するランダム化比較試験.著者らはライフスタイル,理学的,薬物的,手術的,心理学的治療を含むあらゆる方法の研究を考慮した.結果の評価は,疼痛の尺度,生活の質の評価,経済的分析,副作用とした.

データ収集と解析:組み込まれた試験について,ランダム化の方法,盲検割付け,盲検,治療解析の意図が施行できるかどうか,そして関連した方法や結果についての情報が集められた.データはコクランガイドラインに沿ってつくられた形式を使って,2人のレビュアーによって別々に抽出された.

主な結果:7研究が確認され,その中の4研究は方法論的に質の高いものであった.1つの研究は短い抄録のみが報告されているので,除外した.黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)はその治療中の疼痛軽減に関係した.超音波検査によって支えられたカウンセリングは疼痛の軽減と気分の向上に関係した.多面的な訓練による治療はいくつかの結果の評価で有益であった.癒着剥離は癒着が強固でなければ結果の向上には関連しない.

結論:現在行われている研究の完全な報告と共に,こられの観察を確定するさらなる研究が必要である.婦人の慢性骨盤痛に関する有病率,ヘルスケアの費用をみるために,他の薬物的,手術的,心理学的治療のランダム化比較試験が早急に必要である.


Citation: Stones RW, Mountfield J. Management of chronic pelvic pain in women. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野 礼/佐藤孝道)