スルファドキシンーピリメタミンとの併用によるクロロキンまたはアモジアキンの合併症のないマラリアの治療

Treating uncomplicated malaria with chloroquine or amodiaquine combined with sulfadoxine-pyrimethamine

McIntosh HM

最終更新日:20/05/1997


目的:合併症のないマラリアをスルファドキシンーピリメタミン(SP)とクロロキン又はアモジアキン(CQ/AQ)の2剤で治療する場合とCQ,AQ,SP単剤治療する場合との有効性及び耐性を比較すること.

検索方法:コクラン感染症グループやコクラン比較臨床試験レジスターに登録されている試験.標準的な検索法としてMEDLINE1980ー1997を検索,BIDS Science Citation Index 1981-1997,African Index MedicusとLILACSを検索した.非公開の試験は,この分野の専門家や製薬会社を通じて得られた.

選択基準:血液標本によって熱帯熱マラリアと確定診断された患者で,スルファドキシンーピリメタミン(SP)とクロロキンまたはアモジアキン(CQ/AQ)の2剤で治療する場合とこれらの薬の単剤療法した場合で,記録に残っている臨床的,寄生虫学的および有害作用のアウトカムをみたランダム化または偽ランダム化比較.

データ収集と解析:データは標準的な方法を用いて,それぞれの研究から集約され,別々に確かめられた.分析結果は薬品別に分類された.

主な結果:CQ/AQ及びSPで治療した患者とCQおよびAQ単剤で治療した患者の間に,熱病,寄生虫除去,および7日間での寄生虫学的成果に関するはっきりとした違いは見られなかった.28日間での寄生虫学的成果は,報告されたデータを用いると,2剤併用療法の方が高かった(OR 14.28, 95%CI 6.76〜30.19).しかし,SP単剤投与の場合と比較すると,はっきりとした有意差はなかった.解熱時間(アモジアキンに関する研究の1つでこの結果について述べているが)はSP単剤療法と比較して,2剤併用療法の方が有意に短かった(WHO-30.4h, 95%CI -43.79〜-17.10).クロロキンに関する研究の1つでは,2剤併用療法の患者は,SP単剤療法の患者と比較して,治療3日間以内に発熱で診療所を再受診する症例が有意に少なかった.これらの研究で,合併症のないマラリアの治療に,クロロキンやアモジアキンと併用してSPを使用することで,重大な副作用は起きないという証拠は得られていない.

結論:クロロキンあるいはアモジアキンが依然有効である地域においてはいくらかの抵抗を感じるかもしれないが,2剤併用療法の導入によって,SPのみで治療されていた患者は,早く快方へ向かうことができるだろう.さらなる試験がSPをすでに使用している特有地域で必要であり,また,合併症のないマラリアの治療にCQ/AQの効果がない場合,CQ/AQに取ってかわる新しい薬剤選択が求められるであろう.


Citation: McIntosh HM. Treating uncomplicated malaria with chloroquine or amodiaquine combined with sulfadoxine-pyrimethamine. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野 礼/吉村 学,鶴岡優子)