重症精神障害患者の入院期間

Length of hospitalization for those with severe mental illnesses

Johnstone P, Zolese G

最終更新日:01/09/1997


目的:重症の精神障害をもった者に対して,短期入院対長期入院の有効性を判定する.

検索方法:Biological Abstracts,コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース, EMBASE, MEDLINE, PsycLit, SCISEARCを検索した.さらに公表された臨床試験とその著者から参考文献を求めた.臨床試験の選択とデータの抽出は信頼性が高かった.

選択基準:重症の精神障害患者(定義は問わない)に対して短期間入院と長期間入院を比較したランダム化比較試験すべて.

データ収集と解析:レビューア-は独立してデ-タを評価しintention-to-treatに基づいて解析を行った.最初の入院から3ヶ月,6ヶ月,1年,2年で帰結変数のデ-タを抽出した.脱落したり,追跡できなかった患者は改善なしとみなした.

主な結果:4つのランダム化比較試験が包含され,2つの準ランダム化比較試験は感度分析で別途解析された.計画された短期入院(28日未満)では突然の退院(OR 0.4 95%CI 0.12-1.38),再入院(OR 0.77 CI 0.57-1.04),追跡期間中の不明(OR 1.01 CI 0.55-1.85)は多くはなかった.短期間入院に割付けた場合,重症の精神障害患者は期限通りに退院しやすく(OR 0.44 CI 0.24-0.83)就職する可能性も多かった.精神的,社会的,家族的帰結をみるデ-タは要約できなかった.また,使用者の満足感,死亡,暴力,犯罪行為,コストについてはデ-タがほとんどなかった.

結論:この重要な精神保健政策については非常に限られたデ-タしかない.このレビュ-は重症の精神障害患者にとって短期間入院政策が「回転ドア」現象(入退院の繰り返し)や,連続性のない治療をもたらすことはないことを示唆している.


Citation: Johnstone P, Zolese G. Length of hospitalization for those with severe mental illnesses. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/中野有美,古川壽亮)