小児に対する駆虫薬療法 - 成長と認識能力に対する影響

Anthelminthic therapy in children - effects on growth and cognitive performance

Dickson R, Awasthi S, Demmellweek C, Williamson P

最終更新日:07/05/1998


目的:栄養状態や認識能力に対する,小児の駆虫薬の影響を要約すること.

検索方法:コクラン感染症グループの比較臨床試験特別レジスター,コクラン比較臨床試験レジスター,MEDLINE,EMBASEの登録.選ばれた臨床試験の参考文献.同分野の研究員達.

選択基準:年齢1-16歳の子供達の腸管内寄生虫を薬剤で治療した全てのランダム化もしくは偽ランダム化比較試験で,成長や認識能力の変化が測定されているもの.

データ収集と解析:27の臨床試験が組込み基準を満たしていた.そのうち,22の臨床試験が成長の測定を行っていた.3の臨床試験が認識能力について報告していた.そして,2の臨床試験がその両方について報告していた.アウトカムは単一薬剤対プラセボ,複数薬剤対プラセボ(1年もしくはそれ以下でアウトカムを測定),複数薬剤対プラセボ(1年もしくはそれ以上でアウトカムを測定)の3個にグループ分けされた.研究は,対象とするグループや投与する薬剤や治療内容によってさまざまである.

主な結果:体重や身長の変化や,皮膚の厚さの平均(三頭筋や肩甲下の)や,皮膚の厚さの平均の変化などにポジティブな影響が見られた.しかしながら,臨床試験の結果間で不均一性がみられたし,栄養状態には影響がなかったとする臨床試験もいくつかあった.

認識能力に対する研究結果はさまざまで結論に達していない.

結論:これらの子供たちの長期の健康状態について重要と思われるいくつかの研究が示すように,栄養学的要因についてはポジティブな影響が見られている.しかしながら,その影響については研究間で一定していない.

駆虫薬が子供の認識能力を改善するかどうかを知るための資料については証拠が不足している.

将来的には,成長や認識能力に対する駆虫薬療法の影響を決定するために,子供達を長期間追跡する良い研究が必要である.


Citation: Dickson R, Awasthi S, Demmellweek C, Williamson P. Anthelminthic therapy in children - effects on growth and cognitive performance. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/鶴岡浩樹)