病気の緩和のための代理祈とう

Intercessory prayer for the alleviation of ill health

Roberts L, Ahmed I, Hall S, Sargent C

最終更新日:01/09/1997


目的:すでに標準的な医学的ケアを受けている,健康上の問題を持つ人に対して付加的な介入としての代理祈とうが有効かどうかをレビューする.

検索方法:Biological Abstracts,CINAHL,The コクラン比較臨床試験レジスター,EMBASE,MEDLINE,PsycLIT,Sociofileを電子検索した.選んだ論文の引用文献すべての中から,さらに関連のある臨床試験を検索した.

選択基準:健康上の問題を持つ人のために個別に,焦点を当てた,献身的で組織だった代理祈とうについてのランダム化比較試験と準ランダム化比較試験.祈とうされる人,祈とうする人,及びケアする人の,望んだゴールへの到達,死,病気,生活の質(QOL),幸福といった帰結変数を探した.

データ収集と解析:研究の選択とその方法論的質の評価の信頼性は高かった.デ-タは2人のレビューア-によって独立に抽出された.二値デ-タはintention-to-treatによって解析され,欠損が50%以下の連続デ-タが提示された.

主な結果:白血病あるいは心疾患により死亡する者の数が祈りによって影響を受けるとか(OR 0.64 CI 0.32-1.27),冠動脈疾患の合併症を減らすとか(OR 1.05 CI0.49-2.26),または在院日数を減少させるというエビデンスはなかった.心疾患を持つ人で祈りを受けたグル-プでは「中間的・不良の帰結」が有意に減少した(OR 0.49 CI 0.30-0.80).この所見は定義を多少変更させても不変であった.

結論:現在入手可能な臨床試験で研究された帰結変数についてこのレビュ-では代理祈とうの効果を支持したりまたは論破するガイダンスは得られなかった.したがって,現在入手可能な最良のデ-タにもとづいて考えると,現在の慣習を変える根拠はないということである.代理祈とうの価値についての完遂された臨床試験はほとんどない.ここまでに提示されたエビデンスは十分に興味深いもので,さらなる研究が必要である.祈りを人間の努力とみなすならばそれは有益かもしれないしそうでないかもしれないし,今後の臨床試験はこの点を明らかにできるかもしれない.祈とうに効果があったとしてもその効果は現在の科学的理解を超えた要素によるものかもしれない.効果が祈りに対する神の応答に由来するものであれば,それは臨床試験が証明あるいは反証できるものではないかもしれない.


Citation: Roberts L, Ahmed I, Hall S, Sargent C. Intercessory prayer for the alleviation of ill health. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/中野有美,古川壽亮)