呼吸窮迫症候群の早期産児に対するイノシトール投与

Inositol in preterm infants with RDS

Howlett A, Ohlsson A.

最終更新日:12/08/1997


目的:好ましくない予後を減少させる上での,呼吸窮迫症候群の早期産児に対するイノシトール補充の有効性/安全性を評価する. 

検索方法:MEDLINE,EMBASE,Reference Update Databasesが,キーワード:イノシトール,乳児-新生児,ランダム化割付け,比較試験またはランダム化試験(RCT)で1997年8月に検索された.確認されたRCTの関連するリスト,個人ファイルおよび科学引用インデックスが検索された.未発表の付加情報は,抄録形式で発表された一つのRCTの著者から得られた.

選択基準:プラセボ投与あるいは無治療の対照群を含む早期産児に対するイノシトール補充の全てのランダム比較試験が含まれた.気管支肺異形成(BPD),死亡,BPDまたは死亡,未熟児網膜症(ROP),脳室内出血(IVH),壊死性腸炎(NEC),および敗血症に注目した.

データ収集と解析:新生児のデータは,二人の研究者によって別々に抽出された.そして,いくつかの矛盾は同意の上で解決した.Revmanがデータ分析に使われた.

主な結果:3つのRCTの4つのレポートが確認された.1つのレポートは重複出版であった.死亡または気管支肺異形成は,2つの試験で報告され,有意に減少がみられた(RR 0.56, 95%CI 0.42, 0.77;RD -0.215, 95%CI -0.323, -0.107).ステージ4または治療を必要とする未熟児網膜症は,2つの試験で報告され,有意に減少がみられた(RR 0.09, 95%CI 0.01, 0.67;RD -0.078, 95%CI -0.128, -0.027).グレードV-Wの脳室内出血は,有意に減少した(RR 0.55, 95%CI 0.32, 0.95;RD -0.090, 95%CI -0.170, -0.010). 敗血症も壊死性腸炎も増加しなかった.抄録形式で発表された研究を除いて二次分析はおこなわれ,行われたものでは全てのステージで未熟児網膜症の減少が確認されたという点でのみ結果が異なった(RR 0.53, 95%CI 0.29, 0.97;RD -0.082, 95%CI -0.159, -0.005).

結論:イノシトール補充は,新生児予後について,短期的に見れば統計学的に有意かつ臨床的に重要な程度効果があった.多施設での適当な規模でのRCTは,これらの知見を確認するのに適している.


Citation: Howlett A, Ohlsson A.. Inositol in preterm infants with RDS. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:安西邦男/佐藤孝道)