入院治療と比較した在宅医療の有効性

Effectiveness of hospital at home compared to in-patient hospital care

Shepperd S, Iliffe S

最終更新日:18/11/1997


目的:入院治療と比較した在宅医療の有効性を決定する.

検索方法:関連した試験は,MEDLINE,Embase,Social Science Citation Index,Cinahl,EconLit,PsychLit,SIGLE,Medical Care supplement on economic literature,そしてCCEPPのレジスターを使って確認された.

選択基準:試験デザイン:ランダム化比較試験(RCTs).比較:救急病院入院治療と在宅医療を比較する全ての試験.対象:18才以上の患者,長期間治療の必要な患者,小児科や産科の患者,および精神的なヘルスケアーを必要としている患者は除外した.介入:在宅医療は家庭において特別なサービスを提供しなければならない.そのためには,医療専門家が積極的に患者のケアに関わる必要がある.もし,在宅医療というのがなければ患者は入院させられるだろう.結果:死亡率,合併症,再入院,患者と家族に対するコスト,一般診療に対するコスト,病院に対するコスト,地域に対するコスト,在宅医療によって免れた入院日数,在宅入院からの解放,一般的そして疾病特有の健康状態,機能状態,精神的幸福,患者の満足,世話人の満足,世話人の負担,スタッフの印象(プライマリーケアにたずさわっている医師の満足度も含む).研究は,標準化され,有効とされた手段が主観的なアウトカムを評価するために使用された時にのみ再評価に含まれると考えられた.

データ収集と解析:データ分析と質の評価は二人の評論家により,CCEPPグループにより述べられた標準的な方法に従ってデータチェックリスクを使って独自に行われた(METHODS USED IN REVIEWS under EDITIONAL INFORMATION in GROUP DETAILSを参照のこと)5つの研究はすべて包括基準を満たした.試験は介入のタイプ(年配の患者の早期退院,外科患者の早期退院,末期患者のケア)に従って分類された.

主な結果:5つの試験が再評価に含まれたが,すべて規模が小さくて力不足だった.患者の健康に関して統計学的に有意差は認められなかった.待機的手術後早期に退院し,在宅医療となった患者たちは,病院に残った患者たちより多くの満足を表した.しかしながら世話人は入院医療に比し在宅医療で満足度が低かった.ターミナルケアが必要な患者を使ったただ一つの試験が,コストの違いについて正式に調査された.正味のヘルスケアコストについて統計学的に有意差は認められなかった.

結論:このレビューは,在宅医療の広い普及を支持しないし,相当年配であるとか,待機的手術を受けた患者とか,ターミナルであるという患者に対する現存の計画の停止を支持しない.患者のアウトカムにおける在宅入院の効果やヘルスサービスに対するコストを決定するための証拠は不十分である.この論評に含まれる全ての試験には方法論的な限界があった.在宅医療に何が含まれるかという多様性や,このタイプのケア効果を取り囲む不確実さがあるとすれば,これからの調査は,用意されたサービスのタイプ(在宅入院と入院治療)と特定の患者グループのタイプを明らかに仕分けするべきである.患者の利益,患者と介護者の満足,そしてコストが測られるべきであり,試験は正式に計画された経済的な分析を含むべきだ.試験は重要な違いを指摘するために,また結果を普遍性のあるものにするために大規模であるべきである.


Citation: Shepperd S, Iliffe S. Effectiveness of hospital at home compared to in-patient hospital care. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:高口恵子/小林正人,中島嘉之)