関節包外大腿骨折における保存療法と手術療法の比較

Extracapsular femoral fractures: conservative versus operative treatment

Parker MJ, Handoll HHG

最終更新日:26/11/1997


目的:成熟した骨をもつ成人における(股関節)関節包外大腿骨折における保存療法と手術療法の比較.

検索方法:試験はコクラン筋骨格外傷グループの一般的な検索方法で同定され,関連文献の参考文献リストおよび試験者へ接触によっても行われた.

選択基準:これらの二つの治療法(保存療法と手術療法)を比較している,ランダム化比較試験または準ランダム化比較試験を対象とした.アウトカムは4つのカテゴリーにわけられた.すなわち,a)骨接合術における合併症,b)術後または治療上の合併症,c) 死亡率を含めた最終的なアウトカム,d)解剖学的回復について,である.

データ収集と解析:データは別々に二人のレビュアーによって抜粋され,はっきりしない点は試験者たちに接触して確認した.割付けの密封性をふくむ11項目について,方法論的質の評価を,二人のレビュアーそれぞれによって行われた.違いは議論によって解決をはかった.

主な結果:わずか,402人の高齢者を対象とした,4つのランダム化比較試験が対象となった.これらはいろいろな外科的テクニックやインプラントを試しており,106人の患者を対象とした一つの試験のみが,今回のテーマについて評価できると考えられた.この研究では医学的合併症,死亡率,長期にわたる痛みには有意な差はみられなかった.しかしながら,手術治療は脚長の短縮を伴わずに骨融合が得られ,入院期間が短い傾向にあり,統計学的に有意な差はないが,患者が元の住まいにもどる率が高い.

結論:ランダム化試験からの限られたエビデンスからは,(股関節)関節包外大腿骨折にたいする,保存療法と手術療法の間には大きな差は認められなかったが,手術療法は入院期間を短縮し,機能予後を改善する傾向にあるように思われた.しかし,これらの結果は主に一つの研究から導かれている.近代的外科設備のない所では,保存療法療法が行われ,(手術を行っていないのだから)手術に伴う合併症が減るという結果となっているが,リハビリテーションは遅くなりがちであるし,脚の変形が一般的となりやすい.しかし,さらなるランダム化試験はもっとしっかりしたデータを出してくるかもしれないが,結論をだすのは難しいだろう.


Citation: Parker MJ, Handoll HHG. Extracapsular femoral fractures: conservative versus operative treatment. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:横田恭子/内堀充敏)