ドナーの精子の受精技術:子宮内と子宮頚部での受精の比較のランダム化比較試験のシステマティック・レビュー

The Technique of Insemination With Donor Sperm: A systematic review of randomised controlled trials comparing intra-uterine and cervical insemination

O'Brien P, Vandekerckhove P

最終更新日:01/07/1998


目的:ドナーの精子を使用する際,特に妊娠率において通常の子宮頚部における受精(CI)と比較して,子宮腔内への精子の投与(IUI)がより良い結果をもたらすかどうかを検討する

検索方法:コクラン月経異常疾患と生殖能力低下グループの比較臨床試験特別レジスター.

選択基準:IUIとCIを比較したランダム化比較試験で,新鮮あるいは凍結保存精液を用い卵巣への排卵誘発を行ったもの,あるいは行ってないもの.

データ収集と解析:試験のデザインの特性,参加者のベースラインの特性,介入とアウトカム(1周期および1患者あたりの妊娠率,流産率,外妊率,多胎率,感染率)にしたがって,2人の著者が独立して,収集し分析した.メタ・アナリシスはピートのオッズ比と95%信頼区間を用いた.

主な結果:14のランダム化比較試験がこのレビューの適切な基準を満たし,12の試験を含めた.これらは2,215の治療周期のもと697人の患者で構成された.10の試験が凍結精液を用い,このうち3つで排卵誘発を行っていた.もう一つの試験は新鮮な精液と凍結精液のいずれもを用い,もう一つは新鮮精液のみを用いていた.試験の方法論的な質は全て低いものであった.凍結保存精液を使用した場合,自然周期でもクロミフェンで調整された周期でも,全ての妊娠の機会はIUIで優位に高かった.これは妊娠率を周期単位で計算しても(オッズ比2.63 95%信頼区間1.85-3.73),患者単位で計算しても(オッズ比3.86 95%信頼区間1.81-8.25)変わりなかった.IUIはまたゴナドトロピン誘発の周期においても有効であった(1周期あたりの妊娠率 オッズ比2.17 95%信頼区間1.35-3.49).しかしながら,もっとも有益であったのは,CIにおける妊娠率の低い試験であった.新鮮ドナー精子を用いた時は,IUIとCIの間に妊娠率で差は認められなかった(オッズ比0.90 95%信頼区間0.36-2.24).

結論:IUIは凍結保存精子を用いたCIが成功率が低いとき(6%未満)有用なようである.これは,自然周期でもクロミフェンで調整された周期でも,ゴナドトロピン誘発の周期と同様に適応できる.高い妊娠率の場合には,それが頚部受精でも認められると,IUIはわずかな有益性しかない.ドナーの受精に新鮮精子を用いる場合はIUIは有効ではないようである.さらに,より良いデザインのランダム化試験重要な問題を明らかにするために必要である.


Citation: O'Brien P, Vandekerckhove P. The Technique of Insemination With Donor Sperm: A systematic review of randomised controlled trials comparing intra-uterine and cervical insemination. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:後藤忠雄/白石由里)