糖尿病ケア:糖尿病患者に対するルーチン検査システムの有効性

Diabetes care: the effectiveness of systems for routine surveillance for people with diabetes.

Griffin S, Kinmonth AL

最終更新日:19/11/1997


目的:糖尿病患者に対する病院と一般診療のケアのすべてのランダム化試験を探し,評価すること.探し出した試験のメタ・アナリシスを使うことによって,一般医と病院のケアの有効性の比較を行い,個々の試験の知見の相違を調査すること.

検索方法:あらゆる言語のランダム化試験を探し出すため,プライマリケアと関連のある12の単語を組み合わせ,コクラン承認の最善の検索方法を用いて,8つの文献データベースをコンピュータ化検索をした.コクラン糖尿病グループ臨床試験レジスター,コクラン・ライブラリー,プライマリ・ケアに関するランダム試験レジスターについても関連のある研究を検索した.上に述べられた検索方法で得られたすべての試験の報告の引用文献は,さらに関連のある文献を得るためにハンドサーチを行った(人による引用の検索).

選択基準:糖尿病患者(インスリン依存性とインスリン非依存性)の全ての研究は割り当ての盲検の質とは無関係に,プライマリケアにおける一般医によるレビューの方法と合併症の検査とに前向きにランダムに割付けられた.

データ収集と解析:探し出された試験に対し,レビュアーによって包含基準が適用された.アウトカムの数値は,包含したすべての研究の公表された報告から得られた.生の(未調整の)要約データは,コクランReview Managerに入力した.解析は,Inteition to treat解析で行なった.一般診療のケアは,ルーチンまたは促されたケアに分類され,層別解析が行われた.

主な結果:計5つの試験(オーストラリアとイギリスから)が探し出され,そのうち1つのみ2年以上続いていた.それらは,全部で1058人の糖尿病患者を含み,全体の平均は58.4歳で,糖尿病は病院の外来で経過観察されている.結果は,試験によって不均一であった.一般医とその患者のための促進する(prompting)システムを通してより集中的なサポートを行う方式においては,病院と一般開業医でのケア間に死亡率の差は見られず(オッズ比1.06 95%信頼区間 0.53-2.11),HbA1は低い傾向にあり(加重平均差-0.27% 95%信頼区間 -0.59-0.03),プライマリケアでの追跡脱落例は有意に低かった(オッズ比0.37 95%信頼区間 0.22-0.61).しかしながら,家庭医に対するサポートが十分準備されていない方式では患者にとって有害なアウトカムと関連がみられた.QOL,心血管系疾患の危険因子,機能状態,合併症の進展は,まれにしか評価されていなかった.

結論:地域における体系化されていないケアは,病院でのケアと比べて,より不十分な追跡,死亡率の増加,血糖コントロールの悪化と関連があった.コンピューター化された中央からの案内は,患者やそのかかりつけの医者を促すことで,少なくとも短期間では,病院の外来患者のケアと同じ程度あるいはより良いケアを達成することができる.このエビデンスは,自発的な一般医による定期的な促進的案内の準備や糖尿病患者のレビューを支持するのと同時にふさわしい組織が適切にあるならこれが達成され得ることを実証している.


Citation: Griffin S, Kinmonth AL. Diabetes care: the effectiveness of systems for routine surveillance for people with diabetes.. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:野崎香織/浅井泰博,糸矢宏志)