新生児抜管時のデキサメタゾン静注

Intravenous dexamethasone in neonates being extubated

Davis PG, Henderson-Smart DJ

最終更新日:06/08/1997


目的:ある一定期間,間欠的陽圧換気をした後に抜管する新生児に,副腎皮質ステロイド静注は再挿管,喘鳴,無気肺,有害な副作用の発生に対してどれほどの予防効果をもつか.

検索方法:検索は,Oxford Database of Perinatal Trials,MEDLINE,孫引き文献を含む以前のレビュー,学会の抄録,シンポジウムの予稿集,専門家の情報,主に英文の学術誌のハンドサーチ,Y.オガワ教授により日本語で検索した専門家の情報から行われた.

選択基準:試験はランダム化または準ランダム化された患者群を対照とし,抜管の直前にステロイドを静注した群とプラセボを静注した群とを比較した.

データ収集と解析:データは二人の判定者が別々に抽出し,Revmanで解析した.上気道浮腫のハイリスクの児と,抜管前に日常的予防法を受けた児の間でのステロイドの反応の違いを調べた.

主な結果:抜管前のデキサメタゾンの投与は再挿管の必要性を有意に減少させた.この結果は,ハイリスクグループと登録された全ての児の集団に当てはまった.しかし,気道浮腫のハイリスクの児を除外しようと試みた試験では,抜管の失敗の発生はゼロであった.2つの試験で副作用として高血糖と尿糖がみられた.

結論:デキサメタゾンの使用は,ある一定期間IPPVをおこなった新生児の再挿管の必要性を減少させる.低リスクの幼児には効果が乏しかったり,上記のような,あるいは今日解らなかったような副作用がみられることを考慮すると,反復あるいは長期の挿管を受けたような気道浮腫・閉塞のリスクが増大した児にステロイド使用を制限することは合理的にみえる.超未熟児に対する薬用量と適応性の研究は,将来の試験に取り組まれる.慢性肺疾患の発生率,補助換気の継続期間,入院期間への影響のように,長期予後についても今後検討されるべきであろう.


Citation: Davis PG, Henderson-Smart DJ. Intravenous dexamethasone in neonates being extubated. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:安西邦男/佐藤孝道)