人工換気をやめて抜管した児への胸部理学療法

Chest physiotherapy for babies being extubated from mechanical ventilation

Flenady VJ, Gray PH

最終更新日:24/07/1997


目的:新生児呼吸不全に人工換気を行っていた児に対して抜管してからの積極的な胸部理学療法の効果の評価.

検索方法:コクラン・ライブラリーのコクラン・ハンドブックの中に概略されている,コクラン新生児レビューグループの標準的な調査方法がとられた.

選択基準:抜管前後の,積極的な胸部理学療法を,積極的ではない方法(例えば,体位や吸引のみ)や介入しないことと比較した,ランダムまたは準ランダム割付けしたすべての試験.各試験の方法論の質については,2人の著者に独立して評価された.

データ収集と解析:データは2人の著者により別々に抽出された.データは3つの試験から分析された.サブグループの分析は異なる治療頻度について行われた.

主な結果:このレビューでの3つの小規模な試験のうち,2つは10年前と20年前に行われたものであり,抜管前後での積極的な胸部理学療法の明確な有益性はみられない.積極的な胸部理学療法は,抜管後の無気肺の発生率を有意に減少はしなかった(RR 0.69; 0.33, 1.45)が,全体の分析では再挿管の頻度は減少(RR 0.24; 0.08, 0.75)した.異なる頻度で治療を行ったサブグループの解析では,4時間ごとに治療を行った群では,より頻回(1-2時間ごと)に治療を行った群と同じような効果を示したが,無気肺が増加する傾向があり,再挿管の減少はみられなかった.不利益な影響も含めて,他の重要な短期的長期的予後を評価するには情報が不十分である. 

結論:このレビューの結果では,明確な臨床指針を示せない.再挿管を減らし,抜管後の無気肺を減らす傾向があったとの理由で,胸部理学療法が有益である可能性があると解釈するには,注意が必要である.なぜならば,試験の対象となった児の数が少ないし,これらの結果はすべての試験で一致したものではないし,安全性についてのデータは不十分であり,現在の医療への適応は限られている,からである.


Citation: Flenady VJ, Gray PH. Chest physiotherapy for babies being extubated from mechanical ventilation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:亀井陽子/佐藤孝道)