早期産児の無呼吸に対するカフェインとテオフィリン治療の比較

Caffeine vs theophylline treatment for apnea in preterm infants

Steer PA, Henderson-Smart DJ

最終更新日:13/02/1998


目的:反復する無呼吸のある早期産児において,テオフィリン治療に比べてカフェイン治療は,無呼吸や人工呼吸の使用を臨床的に重大な副作用なしに,臨床的に重要なほど減少させるか?

検索方法:コクラン新生児レビューグループの標準的な方法を用いた.周産期試験のオックスフォード・データベース,MEDLINE(方法について記載してある本文を見よ),参照を含めた以前のレビュー,学会の抄録や議事録,専門家の情報,主に英語の手作業で調べた雑誌を調査した.Y.Ogawa教授によって日本語の専門情報が調査された.

選択基準:無呼吸の治療についてカフェインをテオフィリンと比較した,ランダムまたは準ランダムに患者を割付けたすべての試験が候補となった.試験の質と適格性については著者それぞれが別々に評価した.無呼吸が特別な原因で起こっている場合は出来るだけ除外した.無呼吸の重症度と治療による反応の測定は,American Academy of Pediatricsで定義された(Nelson 1978)'臨床的無呼吸'の評価と一致しなければならなかった.

データ収集と解析:コクラン新生児レビューグループの標準的な方法が用いられた.著者は適格性,試験の質,除外データについて別々に評価し,それらを比較し,相違点を解決した.結果は相対危険度(RR)と危険度差(RD)として表現する.1/RDからnumber needed to treat(NNT)を計算した.

主な結果:カフェインとテオフィリンとでは,1-3日目の研究(2研究)でも5-7日目の研究(1研究)でも治療の失敗率(無呼吸/徐脈の減少が50%未満)に相違はなかった.1-3日目の研究では標準的なカフェイン群で無呼吸の率の平均が高かった[3研究,平均の差は0.398(0.334,0.463)/100分]が,5-7日目の研究(2研究)では高くなかった.

頻脈や,投薬の変化によっておこる食物不耐性として示される副作用はカフェイン群で低かった[典型的RR 0.17(0.04,0.72), RD -0.285(-0.467,-0.104), NNT 3.5(2.1,9.6)].これは3研究とも同じであった.

IPPVの使用について報告した試験はなく,成長,発達に関する影響を評価した有用なデータはない.

結論:カフェインはテオフィリンと比較して無呼吸/徐脈に対する短期の効果は変わらないようである.カフェインの他の治療的利点(より高い治療率,確実な腸管吸収,長い半減時間)に関して言えば,カフェインは早期産児の無呼吸治療で好まれる.カフェインのより多い投与量が超早期産である児でより効果的であるかどうかはランダム化臨床試験でさらに評価する必要がある.


Citation: Steer PA, Henderson-Smart DJ. Caffeine vs theophylline treatment for apnea in preterm infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野 礼/佐藤孝道)