重症精神障害者と人格障害者に対する地域精神保健チームによるマネージメント

Community mental health team management for those with severe mental illnesses and disordered personality

Tyrer P, Coid J, Simmonds S, Joseph P, Marriott S

最終更新日:26/08/1998


目的:重症精神障害者に対する地域精神保健チーム(Community Mental Health Team, CMHT)による治療の有効性について評価する.

検索方法:Biological Abstracts,コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース,コクラン・ライブラリー,EMBASE,MEDLINE,PsycLIT,SCISEARCHを検索した.Journal of Personality Disordersをハンドサーチし,ENMESH,ISSPDの同僚と司法精神医学の同僚に連絡をとった.

選択基準:CMHTマネージメントとチームによらない標準的なケアとのランダム化比較試験と準ランダム化比較試験.

データ収集と解析:臨床試験の選択,質の評価,データの抽出には2人のレビュアーが同時に独立して行った.可能であればデータはRevManに入れ,intention-to-treat分析を行った.不均質性の検定も行った.

主な結果:CMHTマネージメントは,自殺やそれと疑わしい状況の死亡の減少(OR 0.32 CI 0.09-1.12)に関係しているかもれない.またそれはケアに満足しない人や(OR 0.34 CI 0.2-0.59),臨床試験からの早期脱落する人 (OR 0.61 CI 0.45-0.83)を減少させている.入院率,全体的な臨床的帰結,入院治療期間については明らかな差はなかった.しかし,これは一部には,データの提示が不十分な結果によるものであった.

結論:地域精神保健チーム(CMHT)によるマネージメントはあらゆる重要な観点においてチームによらない標準的なケアに劣ってはいない.そして,治療を受け入れやすくする点においては優れている.入院を減らしたり,自殺を避けるという点においても優れているかもしれない.


Citation: Tyrer P, Coid J, Simmonds S, Joseph P, Marriott S. Community mental health team management for those with severe mental illnesses and disordered personality. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/松井輝夫)