合併症を伴わないマラリア治療におけるアルテミシニン誘導体

Artemisinin derivatives in the treatment of uncomplicated malaria

McIntosh HM, Olliaro P

最終更新日:05/04/1998


目的:成人及び子供における合併症を伴わない熱帯熱マラリアの治療のアルテミシニ薬の有効性と安全性を要約する.

検索方法:コクラン比較臨床試験レジスター,MEDLINE,BIDS SCI,LILACS,African Index Medicus,会議抄録,この分野の組織及び研究者,製薬会社,現存する総説の引用と確認された研究.

選択基準:成人及び子供における合併症を伴わない熱帯熱マラリアのアルテミシニン薬(経口または経直腸)と標準治療との比較,またはアルテミシニン薬間の比較の,ランダム化もしくは偽ランダム化された試験.安全性のためどの研究も副作用の報告が含まれていた.

データ収集と解析:確認された試験がデータベースに登録された.組込み基準は適合され,事前に特定されたアウトカムデータが2人のレビュアーによって別々に抽出された.

比較:アルテミシニン薬に対して標準治療,アルテミシニン薬単独もしくは他の抗マラリア薬との併用に対してどちらかの薬剤単独,ある特定のアルテミシニン薬と他の薬剤の比較.

アウトカム:寄生虫除去,寄生虫と発熱の除去時間,有害な結果.

主な結果:93の潜在的に適格な研究が同定され,38が包括基準を満たした.

ほとんどのデータは東南アジアの,とりわけタイのメフロキン耐性の熱帯熱マラリアの地域からである.治療期間が十分である研究では,アルテミシニン薬はすべての流行地域において高い治癒率になっている.

メフロキンとの併用は持続した寄生虫の除去を改善し,多剤耐性地域において有効である.両方の薬剤の投与量が適当であれば,併用は治療期間を短縮することができる.

アルテミシニン薬は典型的な研究期間28日にわたって標準治療より有害であるという証拠を認めない.ランダム化試験より,ある特定のアルテミシニン誘導体が他のものよりすぐれているという証拠はない.

結論:研究デザインや運営と報告の質が改善されれば,データの統合によって現行の調査を理解することは容易であろう.明確な結論を現存のデータベースから出すのは非常に難しい.

研究者はどういった臨床の問題が未解決のままかという事をはっきりと示さなければならない.研究者と研究を蓄積する者は今後の研究において協調しなければならない.


Citation: McIntosh HM, Olliaro P. Artemisinin derivatives in the treatment of uncomplicated malaria. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:岡野愛子/糸矢宏志)