性的嗜好障害や性的犯罪で有罪となった人々の治療

Managements for people with disorders of sexual preference and for convicted sexual offenders

White P, Bradley C, Ferriter M, Hatzipetrou L

最終更新日:24/08/1998


目的:性的嗜好障害があり性的犯罪で有罪となった患者を助けるために,管理テクニックの適用範囲の有効性を決定すること.

検索方法:Biological Abstracts,コクラン精神分裂病の比較臨床試験特別レジスター,コクラン比較臨床試験レジスター,EMBASE,MEDLINE,PsychLITを検索した.さらに文献を発表されている臨床試験やそれらの著者から得た.関連する製薬メーカーとも連絡をとった.

選択基準:すべての関連のあるランダム化比較試験.

データ収集と解析:データはレビュアーが互いに独立に評価し,intention-to-treat解析した.データは短期間および中期間治療のアウトカムについて抽出した.

主な結果:McConaghy(1988)の臨床試験によると,問題となる/異常な性的行動と欲望に対して,イメージによる脱感作と抗リビドー薬(メドロキシプロゲステロン酢酸塩)の効果は,イメージによる脱感作のみと比較して有効でなかった.

Marques(1994)によって再発予防プログラムが試みられ,参加者は平均3年間フォローアップされた.データが示唆するところでは,性的犯罪のアウトカムでははっきりした効果は認められない(OR 0.76, CI 0.26-2.28)が,予防に反応した治療群では非性的暴力犯罪が少ない(OR 0.3, CI 0.1-0.89, NNT 10, CI 5-85).付け加えて言うと,予防に反応した治療群は性的および暴力的犯罪を同時に犯すことが少なくなった(OR 0.14, CI 0.02-0.98, NNT 20, CI 10-437).

大規模な実地的な臨床試験が,性的犯罪者のグループ治療の価値について研究された(Romero 1983).この臨床研究では10年後の再犯で効果はなかった.

結論:この分野の治療は特に論議の多いところであり,また大いに関心が抱かれているところであるのに,残念なことに明確なエビデンスを欠いてる.再発予防プログラムは,暴力的再犯罪に関してはいくらか効果があるようにみえるが,この治療法の有効性やその他の点で確立したものとなるには,長期間にわたる大規模で,上手に施行されたランダム化比較試験が必須である.


Citation: White P, Bradley C, Ferriter M, Hatzipetrou L. Managements for people with disorders of sexual preference and for convicted sexual offenders. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/竹内 浩)