未破水早産時の抗生剤

Antibiotics in preterm labour with intact membranes

King J, Flenady V

最終更新日:30/10/1997


目的:未破水の早期産に対する抗生剤投与の効果を,母体および新生児の予後について評価する.

検索方法:このレビューは,全体としてコクラン妊娠と出産グループにより開発された検索方法より引用された.関連する試験は同グループの比較臨床試験特別レジスターで確認された.さらなる情報はレビューグループの詳細を参照すること.他の情報源には,専門家への連絡と関連した情報からの孫引き文献がある.

選択基準:未破水の早期産に対する抗生剤投与を行った母児の予後について,コントロール群(プラセボまたは無治療)と比較した,すべての出版・未出版のランダム化試験.

データ収集と解析:選考された試験は,それらの結果の考察なしに,方法論的な質と採用の適切さによって評価された.試験データは,別々に2人の判定者により抽出され,そして以下に記述されたごとく処理された.Mulrow CD,Oxman AD (編) ,コクラン共同計画ハンドブック[1997年3月1日改訂].コクラン・ライブラリー[ディスクまたはCDR-OMのデータベース].コクラン共同計画発行.オックスフォード,Update Software社.1996年より3カ月毎に改訂.

失われた,または不十分なデータはすべての場合,原著者に問い合わせ,可能な限り結果に含んだ.

主な結果:試験を含む8つのメタ・アナリシスは,早産の割合と妊娠延長期間の平均日数に関して抗生剤治療の有効性がないことを示した.同様に,新生児の呼吸窮迫症候群や敗血症に関しても効果ないことがわかった.しかし,抗生剤投与は母体感染(絨毛膜羊膜炎/子宮内膜炎)と新生児壊死性腸炎を減少させた.周産期に関連した死亡の増加は,抗生剤投与群にみられた.

結論:このレビューは,新生児予後に関して未破水の早期産に対する抗生剤投与の全体的な有効性を証明することはできず,抗生剤投与群で周産期死亡率が増加する心配をあげている.そのためこの治療は,現在,ルーチンな医療としては推奨できない.破水前の早期産治療のために行う抗生剤治療が有効であると思われるサブグループを確認するために,さらなる研究が必要である.


Citation: King J, Flenady V. Antibiotics in preterm labour with intact membranes. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:溝渕泰三/佐藤孝道)