大腿骨近位部や他の長管骨閉鎖骨折の患者における手術の際の抗生剤の予防投与

Antibiotic prophylaxis in patients undergoing surgery for proximal femoral and other closed long bone fractures

Gillespie WJ, Walenkamp G

最終更新日:04/08/1998


目的:大腿骨骨頭や他の長管骨閉鎖骨折の患者における手術の際の抗生剤の予防投与が創部や他の院内感染の発生を減らすかどうかを明らかにする.

検索方法:言語の制限は実施しなかった.コクラン・ライブラリ,MEDLINE,EMBASE,Current Contents,Dissertation Abstracts,Index to UK Thesesのデータベースを1997年の終わりまで検索した.同定した論文の参考文献をハンドサーチした.

選択基準:参加者:大腿骨骨頭あるいは他の長管骨閉鎖骨折の患者で内固定手術または関節置換術実施の患者.介入:手術時の抗生剤の全身投与.アウトカム:(深部と表層部の)創部感染症,尿路感染症,呼吸器感染症,予防の副作用,経済的評価.

データ収集と解析:検索,包含か除外するかの判断,方法論の評価,データ収集はレビューの際にあらかじめ決められたプロトコールにそって実施した.解析はReview Manager 3.1.1を使用してデータのプール,ピートのオッズ比,絶対リスク減少率,各々の95%信頼区間を出した.

主な結果:抗生剤の予防投与により,内固定術の手術を受けた患者の創部感染,尿路感染症,呼吸器感染症を減少させた.経済モデルでは費用対効果のある介入であることが示された.副作用の発生については限られたデータではあるが抗生剤投与を受けた群でより多いようであった.

結論:抗生剤の予防投与は内固定術の手術を受ける患者に提供されるべきである.倫理的な面から閉鎖骨折術時の抗生剤予防の効果を見るためのプラセボ対照のランダム化試験は正当化されそうにない.異なる有効な抗生剤の費用対効果の比較検討するための研究は非常に規模が大きくなるであろうし,実行しにくいかもしれない.


Citation: Gillespie WJ, Walenkamp G. Antibiotic prophylaxis in patients undergoing surgery for proximal femoral and other closed long bone fractures. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:吉村 学/濱崎圭三)