精神分裂病患者の標準薬治療に対するβ遮断薬の補充投与

Supplementing standard drug treatment of those with schizophrenia with beta-blocking medication

Ahonen J, Cheine M, Wahlbeck K

最終更新日:26/11/1997


目的:精神分裂病においてメジャートランキライザーの追加剤としてのβブロッカーの臨床的有用性を評価する.

検索方法:以下のデータベースより各国語の出版物を検索した:Biological Abstracts,コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース,EMBASE,LILACS,MEDLINE PsycLST.包含された論文の引用文献リストのスクリーニングを行った.

選択基準:精神分裂病患者に対して通常のメジャートランキライザーの補助剤としてβブロッカーとプラセボとを比較したすべてのランダム化比較試験.

データ収集と解析:少なくとも2人のレビュアーにより互いに独立に,研究が選択されデータが抽出された.均質な二値データについは,オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)をPeto法で計算した.不均質な二値データについては,ランダム効果モデルを使用した.

主な結果:現在のところこのレビューは5つの研究を含むが,それらのデータは,提示方法が不十分で,通常のメジャートランキライザーの補助剤としてのβブロッカーの明らかな効果を示さない.

結論:現在のところ精神分裂病の治療にβブロッカーは勧められない.補助剤としてのβブロッカーの利点があったとしても,包含された研究の報告の仕方が悪いためあいまいになってしまっている.精神分裂病を持つ人へのメジャートランキライザーの補助剤としてのβブロッカーに関する既存のデータは,この治療の効果または更なる臨床試験の必要性についての結論を確たるものにするため,収集,再分析されるべきである.


Citation: Ahonen J, Cheine M, Wahlbeck K. Supplementing standard drug treatment of those with schizophrenia with beta-blocking medication. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:溝渕泰三/中野有美,古川壽亮)