早産時におけるビタミンKの前投与

Vitamin K prior to preterm birth

Crowther CA, Henderson-Smart DJ

最終更新日:22/05/1997


目的:乳児の脳室周囲出血(PVH)と神経障害を予防することを第一の目的とし,超早期産が切迫している女性にビタミンKを投与することの利点と害を評価すること.

検索方法:このレビューは全体としてコクラン妊娠と出産グループによって考案された検索方法によっている.関連した研究は,同グループの比較臨床試験特別レジスターの項で確認できる.それ以上の情報は創設の詳細を見なさい.

選択基準:早産が切迫している女性に対して,経口的,非経口的にビタミンKを投与した臨床的な結果について述べられた,全ての出版,未出版,進行中のランダム化比較試験.第一の結果は生後1週間の間に超音波でPVHが認められた場合の新生児の死亡率,新生児の神経学的な罹病率,そして長期における神経学的発達.第二の結果は新生児の他の疾患の罹病率と母親の副作用を含む.

データ収集と解析:包括や方法論が適当かどうかが,各著者によって,お互いの結果を考慮することなく別々に評価された.データは2人の判定者によって別々に抽出され別々に登録された.試験の質の効果を評価するために,初解析と前特定感度試験が施行されたものが試験として適格とされた.

主な結果:ビタミンKを投与された児において,PVH(OR 0.72; 95%CI 0.51-10.)の全てのグレードと重篤なPVH発生(grade 3 and 4)(OR 0.73; 95%CI 0.41-1.27)において有意差はないが低下傾向を示す.神経発達に関する見解に関しては,いずれの試験にも述べられていない.これらの結果はより質の低い以前の報告に影響されている.より質の高い試験[Thorp 93-95]のみを考慮すれば,この最初の知見は消失する.

結論:超早期産が切迫している母親に対するビタミンKの投与は通常の臨床に応用することは勧められない.もしこれから先の試験を計画するなら,質の高いものでなければならない.そして妊娠中,PVH の危険性の高い週数でビタミンK投与の結果を調べなければならない.妊娠週数毎にランダム化した後,除外例が最小限になるようにする.フォローアップ中の神経学的な発達は最も重要な結果として評価されなければならない.


Citation: Crowther CA, Henderson-Smart DJ. Vitamin K prior to preterm birth. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:中村和宏/佐藤孝道)