更年期および閉経後骨粗鬆症に対する骨折予防のためのビタミンDとビタミンD誘導体

Vitamin D and Vitamin D analogues in the prevention of fractures in involutional and post-menopausal osteoporosis.

Gillespie WJ, Henry DA, O'Connell DL, Robertson J

最終更新日:26/08/1996


目的:老年男子や更年期,閉経後の女性による骨粗鬆症の躯幹や四肢の骨折予防におけるビタミンDやビタミンD誘導体補充の有効性を決定する.

検索方法:コンピューターを用いてMEDLINE,EMBASE,BIOSIS,CINAHL,HealthPLAN,DISSERTAION ABSTRACTS,INDEX TO UK THESES,CURRENT CONTENTSの1995年12月分までを検索した.1995年12月まで発行された一般または筋肉,骨格に関する雑誌のハンドサーチも行った.検索によって得られた原著やレビューの参考文献も確認した.

選択基準:老年男子や閉経後の骨粗鬆症の女性において,ビタミンDまたはその誘導体が単独またはカルシウム補給剤との組み合わせで,骨折をアウトカムとして調査された,プラセボまたは無介入またはカルシム補給剤の投薬のいずれかの群とで比較がされているいくつかのランダム化比較試験や準ランダム化比較試験.

データ収集と解析:13の異なった比較のされている,14の適確な非常に小さな研究が確認された.14の研究のうち13はプラセボによるコントロールがされていたが,7つの研究でコントロール群もまた研究期間中にひとつ又はそれ以上の薬剤を定期的に投与されていた.これらを含む研究の質はa pre-determined protcol using a 7 point scaleによって評価された.データは登録され,さらに必要な情報を研究者に求めた.脊椎骨折の結果が記録されているすべての研究で,臨床的症状がないにもかかわらず,視診やvertebral morphometryによるX線撮影で測定される脊椎の変形の進行があった.そこで可能な限りデータはプールした.

主な結果:ビタミンD単独の使用は議論のあるところである.このレビューにふくまれる判定基準にあったビタミンD単独の唯一の試験では,大腿骨頚部骨折にたいする予防は確信されなかった.それぞれがひとつの大きな試験として代表とされた二つの試験は,大腿骨頚部骨折や四肢骨折の発生率の減少に限られてはいるが効果のある証拠を示した.その療法とは 1)カルシウム補給剤とともに経口でビタミンD投与を,2)1,25水酸化ビタミンD(カルシトリオール)はカルシウム単独よりもより効果的であると示された.脊椎変形の罹患率を減少させるのに限られてはいるが,効果がある療法は 1)1,25水酸化ビタミンD(カルシトリオール),これは一つの大きな試験でカルシウムより有効であることが,また二つの小さな試験でプールされた結果からプラセボより有効であることがわかった.2)経口の1-α水酸化ビタミンD(アルファカルシドール),カルシウム補給剤と一緒に投与された時に(これは二つの小さな試験においての結果で,この調査は検出力が足らない).ビタミンD誘導体を服用したとき高カルシウム血症や消化器症状の頻度は5%以下であると報告されている.しかし,死亡の危険性は極端に低かった.

結論:骨折の予防にビタミンDやその誘導体を含めた療法はその効果に不確実である.特に,カルシウムの共同補給が必要ならば,二つの療法には重大な費用の違いが生じる.地域における骨折予防政策にビタミンD補給法を確信をもって導入するまえに,更なる経済的評価を伴ったランダム化比較試験が待たれる.


Citation: Gillespie WJ, Henry DA, O'Connell DL, Robertson J. Vitamin D and Vitamin D analogues in the prevention of fractures in involutional and post-menopausal osteoporosis.. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:横田恭子/河合 徹)