慢性閉塞性肺疾患の増悪による換気不全の管理におけるドキサプラムの使用

Use of doxapram in the management of ventilatory failure due to exacerbations of COPD

Greenstone M

最終更新日:30/05/1997


目的:慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪による換気不全患者において,ガス交換障害の改善や臨床的なアウトカムにドキサプラムが有効かどうかを判断する.

検索方法:最初の検索は,調査する単語として"doxapram"を用いて,コクラン気道グループのCOPDランダム化比較試験(RCT)登録から抽出した.それぞれRCTの参考文献からRCTsに含まれるかもしれない文献も検索した.確認されたRCTsの著者達には他に出版されたあるいは未出版の研究がないか連絡をとった.さらに,ドキサプラムを製造している製薬会社にも連絡をとった.

選択基準:COPDの増悪による換気不全患者で,ドキサプラムを使用したグループと使用しないグループの間で血液ガスを比較したランダム化比較試験がいくつか含まれていた.COPDの急性増悪による換気不全(低酸素血症と高炭酸ガス血症)を伴う患者は,ドキサプラムの静脈注射か点滴を使われているかどうかで選択された.結果の解析は以下の項目で行われた:血液ガスデータ,気管内挿管や人工換気の適応を含んだ臨床効果,死亡率.

データ収集と解析:データはレビュアーによって抽出された.欠如したデータはいくつかのケースで計算された.(標準誤差から標準偏差)データはコクランReview Manager 3.0βを使って分析された.

主な結果:確認されたRCTs は3つのみであった.ドキサプラムは短時間の血液ガスの悪化の防御にはプラセボよりも優れていた.もうひとつの研究では,血液ガス交換においては5種類の換気刺激薬の中で最も効果的であった.ドキサプラムは,死亡率と血液ガス交換において非侵襲的陽圧換気より劣っていた.

結論:ドキサプラムはいくつかの研究の中で,決して全てではないが,非常に短い期間の血液ガス改善には有効であった.しかし新しい技術によって取って代わられるかもしれない.


Citation: Greenstone M. Use of doxapram in the management of ventilatory failure due to exacerbations of COPD. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/村上智彦,吉村 学)