小児急性中耳炎に対する抗生物質とプラセボ

Antibiotic versus placebo for acute otitis media in children

Glasziou PP, Hayem M, Del Mar CB

最終更新日:26/08/1996


目的:急性中耳炎の子供の臨床管理における抗生物質の効果を評価する.

検索方法:1958年から1994年までの文献を系統的に検索し,抗生物質が急性中耳炎症状や合併症を軽減させるかどうかを研究している文献を決定した.

選択基準:a)ランダム化されている,b)抗生物質が投与されていないコントロール群に対して1つ以上の抗生物質が投与されている研究を選択した.

データ収集と解析:選択された8つの研究から,症状の期間,聴力の問題,合併症のデータを抽出した.

主な結果:第一の目的は a)短期間での症状の改善 b)引き続く合併症である.結果:8つの試験はすべて先進国のものであるが,24時間での痛みの軽減はないが,2-7日目では41%の相対的減少が示された.この期間になると約80%の人が自然に治るので,絶対的な減少は約8%ということになる.このことは,2日後に1人の何らかの痛みを持つ子供の症状を抗生物質で阻止するためには,12人の子供を治療する必要があることを意味する.その後行うTympanometryで計測する合併症や再発に関して抗生物質の効果はなかった.しかし,これらの試験のなかでは重篤な合併症は殆どなかった.ただ,治療していた群において乳突炎が1例起こった.

結論:抗生物質は子供の中耳炎に対して実際に,しかし少しの利益を与える.多くの場合自然に治るので,臨床家にとって副作用の起こる可能性に反して抗生物質使用の姿勢を決定するのは難しい.乳突炎のような化膿性の合併症のリスクがある集団やサブグループに対して,例えば開発途上国では,抗生物質の使用が強く薦められる.


Citation: Glasziou PP, Hayem M, Del Mar CB. Antibiotic versus placebo for acute otitis media in children. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福田泰代/八森 淳,橋本 淳)