鞭毛虫症の治療

Treating giardiasis

Zaat JOM, Mank ThG, Assendelft WJJ

最終更新日:10/04/1998


目的:鞭毛虫症患者の症状,有症期間,糞便中の原生動物類(protozoa)の存在に対する薬物療法の有効性を調べる.

検索方法:MEDLINE(1966-1997)および EMBASE(1980-1997)を標準的な検索方法を用いて検索した.最新内容については,1996年1月から1997年8月まで検索した.コクラン感染症グループの比較臨床試験特別レジスターおよびコクラン比較臨床試験レジスターも同様に検索した.必要・不必要を問わず,研究の参考文献を調べた.言語制限規定は使用しなかった.

選択基準:プラセボあるいは他の薬剤を対照群とした薬物治療に関するすべての試験.ランダム化比較試験および偽ランダム化比較試験(例えば隔週に割付け)も含められた.学会からの公開研究,症例報告,要約などは除外した.

データ収集と解析:すべての試験の方法論的な質はコクラン共同計画のガイドラインによって評価された.寄生虫学的実験の質は,あらかじめ定められたプロトコールに従い,2人の別々の評価者によって評価された.寄生虫学的治療,臨床的治療,有症状期間がおもな アウトカム の指標であった.

主な結果:34の試験が含まれており,1つの試験だけが重大な方法論的欠陥がなかった.寄生虫学的検索の平均点は4.8(15点満点で)であった.プラセボと対照群とでは,治癒率において,有効性にかなりの差が見られた(OR 11.5,95%CI 2.3〜58).しかし,この比較試験で,3試験すべてに重大な欠陥があった.3日以上メトロニダゾールで治療した場合,他の治療方針よりも寄生虫学的治癒率は高くなるようである(集積OR 2.4,95%CI 1.3〜4.4).今回の試行では,臨床学的かつ統計学的な不均一性がある.単剤投与治療でも,長期治療指針と同様の有効性が認められた(OR 0.33, 95%CI0.08〜1.34).単剤投与治療の指針の中では,チニダゾール(2g)を用いる方法が他の短期治療指針に比べて,より高い寄生虫学的治癒率が得られた(集積OR 3.4, 95%CI 0.95〜12).

結論:ここで挙げたランダム化比較試験の方法論的な質は不十分なものである.チニダゾールの単剤投与は,今までのところでは,比較的副作用が少ないという点で最も有効な治療法である.プラセボを対照とした寄生虫学的,そして,臨床学的アウトカムの得られる試験が行われる必要がある.


Citation: Zaat JOM, Mank ThG, Assendelft WJJ. Treating giardiasis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:水谷武夫/三瀬順一)