神経組織嚢虫症における薬物療法

Drugs in neurocysticercosis

Salinas R, Prasad K.

最終更新日:05/05/1997


目的:嚢胞遺存,引き続く発作や水頭症に関して,人間の神経組織嚢胞症における薬物治療の有効性を要約すること.

検索方法:コクラン感染症グループ,その分野の研究者,製薬会社,そしてWHO専門スタッフから広範に検索.


選択基準:神経組織嚢虫症患者で嚢胞治療薬とプラセボ又は対症療法を受けているコントロールグループとを比べているすべてのランダム化または偽ランダム化比較試験.5つの確認された研究のうち3つは2人のレビュアーによって包含基準に合致していると判定された.

データ収集と解析:抗痙攣剤治療の離脱,癲癇発作のコントロール,脳圧亢進の改善,頭痛軽減,能力障害,死亡,嚢胞遺残(コンピューター断面撮影法).

主な結果:抗痙攣剤治療の離脱,頭痛軽減,能力障害又は死亡をアウトカムにした試験はなかった.2年間の追跡期間でてんかん発作をレポートした試験が一つあった.だが多くの患者はてんかん発作のない患者で,人数が少なかった.1つの試験は,2年間の追跡で水頭症の発生をみたものであったが,同じように患者が少数では有意義な解釈を制限するものであった.

嚢胞治療薬とプラセボ群で,CTスキャン上嚢胞遺残に関する有意な違いはなかったが,しかし患者数は少数だった.

結論:今回のレビユーでは,現在入手可能な証拠からは嚢胞治療薬が害よりも有効であるかどうかを決めるのに不十分といえる.さらに治療を評価する努力を,画像上と臨床上のアウトカムがはっきりしていない臨床上の病気に焦点を当てるべきである.


Citation: Salinas R, Prasad K.. Drugs in neurocysticercosis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野利枝/吉村 学,村上智彦)