禁煙治療における医療従事者の訓練

Training health professionals in smoking cessation

Lancaster T, Silagy C, Fowler G, Spiers I

最終更新日:25/02/1998


目的:患者に禁煙治療を行うための,医療従事者に対する訓練の有効性を評価し,またニコチンガムを勧めたり提供したりすることによる付加的な効果を評価する.

検索方法:コクランタバコ嗜癖グループの検索方法を使用した.

選択基準:禁煙において医療従事者の訓練が介入となっているランダム化比較試験を検討した.試験では,禁煙指導業務と,介入して少なくとも6カ月後の患者の喫煙率に対するアウトカムが報告されているかどうかのみを検討した.

データ収集と解析:データはあらかじめ決めた基準に従って,2人のオブザーバーが抽出した.

主要アウトカム項目はつぎのものであった.

1.研究開始時に喫煙していた患者の6カ月又は12カ月時点での喫煙をやめた率.

2.カウンセリング,禁煙日の設定,経過観察のための面会の予約,患者のためになる資料の配布,ニコチンガムの推薦を含む医療従事者の禁煙指導業務の実行の割合.

可能な場合,固定効果モデルを用いてメタ・アナリシスを行い,その結果は感度分析を受けた.

主な結果:訓練を受けた医療従事者は訓練を受けなかった対照群より,有意に禁煙指導業務を行う傾向があった.訓練を受けていない対照群が担当した患者と比べると,訓練を受けた医療従事者が担当した喫煙者のほうが,禁煙のオッズはわずかながら増加していた(OR 1.48,95%CI 1.20〜1.83).禁煙を促すものや禁煙を思いださせるものが使われれば訓練の効果は上がった.

結論:禁煙治療を実施するための医療従事者の訓練は,禁煙指導業務に,測定しうるほどの効果を与えた.また,喫煙患者のアウトカムに対してもある程度の効果が認められた.


Citation: Lancaster T, Silagy C, Fowler G, Spiers I. Training health professionals in smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久保理恵/大野茂樹,宮本英樹)