乾癬性関節炎:治療と毒性の概観

PSORIATIC ARTHRITIS: an overview of therapy and toxicity

Jones G, Crotty M, Brooks P

最終更新日:30/11/1996


目的:メタ・アナリシスの技法を使って乾癬性関節炎治療の薬剤について,出版されているもしくは未出版のランダム化比較試験をシステマティック・レビューし,その薬剤の有効性と毒性を決定する.

検索方法:データベースとしてはMEDLINE(1966-95)とExcerpta Medica(1974.6-95)を利用した.検索項目は乾癬,関節炎と治療とcontrolled trialであった.また過去に出版されたレビューやカンファランスの議事録,製薬会社に連絡をとったりして,出版目録をハンドサーチすることで補われた.最初の検索には言語の制約は付けなかった.

選択基準:主たるアウトカムの測定はOutcome Measures in Rheumatology Clinical Trials(OMERACT)による個々の変数を含んでいた.これらの変数には急性反応物質,身体の障害,疼痛,患者の総合評価,医師の総合評価,腫脹関節数,圧痛関節の数および関節の放射線的変化があり,一年以上観察している研究で[Tugwell 1993],全体の疾病指数もあった.選択条件に含まれる試験には少なくとも二つの治療群が必要であり,正式のランダム化によって割付けられなければならない.レビューには英語で書かれたものだけが選択された.

データ収集と解析:データは独立して二人の著者によって出版された報告から抽出された.独立盲検による質的評価も行われた.データはコクラン共同計画のソフトウエア Review Manager(RevMan)を利用して解析された.

主な結果:19のランダム化試験が特定され,そのうちの11の研究で量的解析を含んでおり,777人のデータとなった.すべての薬剤がプラセボより良かったが,非経口の高用量メトトレキセート(対象外),サラゾピリン,アザチオプリンおよびエトレチナートは疾患活性の総合指標で統計学的有意差を得られた薬剤であった(一つの変数のみアザチオプリンが有効で,一つの試験のみエトレチナートが有効であったことは,これらの結果を解釈するのにいくつかの注意が必要であると示唆していることを注目すべきである).個々の疾患活性のマーカーの反応についての解析は,異なった治療法および反応に差があれば変化しやすい.持つとより有効となる.すべての試験でプラセボ群が初期より良くなっている(全体の改善率0.43DI単位,95%CI 0.28-0.59).毒性を決定するには資料が不十分であった.

結論:メトトレキセートの非経口的高用量投与とサラゾピリンが乾癬性関節炎に対し有効性が証明され出版されているたった二つの薬剤である.アザチオプリン,エトレチナート,経口の低用量メトトレキセートそしてたぶんコルヒチンに見られる効果の程度は,それらが有効であるかもしれないがさらなる多施設共同臨床試験がその有効性を確立するために必要であろうと示唆している.さらに,プラセボ群で得られた改善の程度はこの病態で治療法を導くために非比較試験を使うべきでないことを強く示唆している.


Citation: Jones G, Crotty M, Brooks P. PSORIATIC ARTHRITIS: an overview of therapy and toxicity. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:谷本省三/石川鎮清,濱崎圭三)