急性虚血性脳卒中におけるテオフィリン, アミノフィリン, カフェインと類似体

Theophylline, aminophylline, caffeine and analogues, in acute ischaemic stroke

Mohiuddin AA, Bath FJ, Bath PMW

最終更新日:02/06/1996


目的:急性虚血性脳卒中と確診あるいは疑われる患者に対して,テオフィリンとその類似体が安全な治療であるか,また早期の(一ヶ月未満)死亡率,晩発性の( 一ヶ月以上)死亡率,総死亡率,神経学的な悪化を減少させるか否かを判定する.

検索方法:コクラン脳卒中レビューグループの検索方法に加えて,MEDLINE,EMBASE,ISIや製薬会社の記録などを検索した.

選択基準:発表,未発表に関わらず,テオフィリンやその類似体をプラセボあるいはコントロールと比較していて,脳卒中発症の1週間以内に治療が開始された,完成した全ての ランダム化比較試験.

データ収集と解析:早期の致死率と発症から時間を経た致死率,神経学的な障害,機能障害や生活の質(QOL)について,各々の試験を調べた.可能な場合は,intention-to-treatに基づいて解析を行った.

主な結果:患者119名が含まれる(59名の薬物群と60名のコントロール群)2つの試験が同定された.早期の死亡はアミノフィリンの治療を受けた群で15名,プラセボ群で14名であり,オッズ比は1.12,95%信頼区間(CI)は0.49〜2.56であった.早期の患者致死率と増悪(薬物群18/59に対してプラセボ群20/60)を分析したところ,有意な減少は見られなかった(オッズ比0.87,95%信頼区間 0.41〜1.88).死亡や機能障害(Rankin>3) といった不幸なアウトカムについては,1つの研究では有意な減少が見られなかった(オッズ比0.64,95%信頼区間0.18〜2.28).発症から時間を経た患者致死率や機能障害に関連する発表データは分析に適していなかった.quality of life に関するデータは利用できなかった.

結論:研究に用いられた患者数が不十分であり,テオフィリンとその類似体が致死率,羅患率を減少させるか否かは今のところはっきりしていない.現在の結果ではテオフィリンが極めて有効であるとは示されていないが,テオフィリンとその類似体の安全性と有効性を十分に評価するために,より大規模なランダム化比較試験が必要とされる.急性虚血性脳卒中患者におけるテオフィリンとその類似体の日常的な投与は,現在のところ勧められない.


Citation: Mohiuddin AA, Bath FJ, Bath PMW. Theophylline, aminophylline, caffeine and analogues, in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/関口聡子,八森 淳)