目的:慢性腰痛患者における痛みの軽減と動作範囲の改善について経皮的神経電気刺激法(TENS)の有効性を決めること.検索方法:EMBASE,MEDLINE,CISCOM,AMEDを検索し,慢性腰痛の治療に関するTENSのすべての研究を,検索した文献の参考文献も含めて抽出した.
選択基準:このレビューに含む文献の選択基準は慢性腰痛患者TEN/ALTENとプラセボの比較試験であり,抽出された70文献中6文献であった.
データ収集と解析:痛みの軽減,関節可動域,運動機能および仕事への影響といったアウトカムデータと研究デザインの質的評価は独立した2人のレビュアーによって決められた.
主な結果:それぞれのプラセボに比して痛みを改善するオッズ比は,TENS/ALTENS対プラセボはOR 2.11(95%CI 1.32〜3.38),ALTENS対プラセボはOR 7.22(95%CI 2.60〜20.01),TENS対プラセボはOR 1.52(95%CI 0.90〜2.58)であった.動作範囲の改善のオッズは,ALTENS(対プラセボ)はプラセボの6.61(95%CI 2.36〜18.55)倍であった.
結論:TENS/ALTENSは慢性腰痛患者の痛みを軽減しまたは動作範囲を改善することは,限られたデータではあるが,統計学的に意味のある根拠を有する.ただ,TENS/ALTENSに関してさらに強力なランダム化比較試験がこれらの結果を確実にするために必要である.
**EDITORIAL NOTE TO READERS**
慢性腰痛患者に対するTENSが有効でないという未発表ながら大規模な試験がPeter Jarzem(カナダ)によってなされた.編集者とこのレビューの著者らはこの研究結果をこのレビューに取り込むためJarzemとともに現在作業をしている.
Citation: Gadsby JG, Flowerdew MW. The effectiveness of transcutaneous electrical nerve stimulation (TENS) and acupuncture-like transcutaneous electrical nerve stimulation (ALTENS) in the treatment of patients with chronic low back pain. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.
(日本語翻訳:岡山雅信/濱崎圭三)