メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジア:ビタミンEの有効性

Neuroleptic-induced tardive dyskinesia: efficacy of vitamin E

Soares KVS, McGrath JJ

最終更新日:02/06/1997


目的:メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジア(TD)を合併した精神分裂病またはその他の慢性の精神疾患の人々において,ビタミンEの臨床的有効性を決定する.

検索方法:Biological Abstracts,コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース,EMBASE,LILACS,MEDLINE,PsycLIT,SCISEARCHの電子検索,全ての同定された研究の引用文献のハンドサーチ,包含されたすべての臨床試験の第一著者との接触.

選択基準:検索で同定された報告は以下の場合に包含された.すなわち,メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアを伴う精神分裂病または他の慢性の精神疾患の人々をビタミンEかプラセボ(または処置なし)のいずれかにランダムに割り当てた比較試験であること.

データ収集と解析:7つの異なった研究がこのレビューに含まれ,そして別の5つの臨床試験については著者からのさらなるデータを現在のところ待っている.データは,各レビュアーにより互いに独立に抽出され,オッズ比または平均差とその95%信頼区間が推定された.レビュアーはドロップアウトした人々は改善なしと見なした.

主な結果:このレビューの結果は互いに矛盾する部分があった.しかし,ビタミンEを使用した人々は,TD症状が多少は改善し,悪化が少なかった.臨床的改善をもたらすNNTは5,いかなる改善であろうとも多少の改善をもたらすNNTは4であった.副作用の存在あるいは研究終了前のドロップアウトについては差はなかった.さらに,TDが早期に始まる者に対するビタミンEの有効性については何も述べることができなかった.

結論:ビタミンEは,TD症状を改善する傾向がある.しかし,これらの結果は,ランダム化の質の不確かな小規模の臨床試験に基づいている.小さいサンプル,短期間の介入,クロスオーバーデザインの不適当な使用のような方法論的問題は,将来の大規模でうまく施行された研究で解決されなくてはならない.


Citation: Soares KVS, McGrath JJ. Neuroleptic-induced tardive dyskinesia: efficacy of vitamin E. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:安西邦男/中野有美,古川壽亮)