メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアに対するベンゾジアゼピン系薬

Benzodiazepines for neuroleptic-induced tardive dyskinesia

McGrath JJ, Soares KVS

最終更新日:29/05/1996


目的:精神分裂病もしくは他の慢性の精神疾患の患者で,メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジア(TD)に対するベンゾジアゼピン系薬の臨床的有効性を評価した.

検索方法:Biological Abstracts, コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース, EMBASE, LILACS, MEDLINE, PsycLIT, SCISEARCHの電子検索と,同定されたすべての研究の引用文献のハンドサーチをおこなった.

選択基準:ランダム化比較試験が,精神分裂病もしくは他の慢性の精神疾患の患者で,メジャートランキライザーによって誘発されたTDがあり,ベンゾジアゼピン系薬の投与とプラセボもしくは無介入とを比較している場合を選択基準とした.2つの研究が採用された.

データ収集と解析:複数のレビュアーによって独立にデータが抽出され,オッズ比(95%信頼区間)ないし平均値の差(95%信頼区間)が推定された.ドロップアウトした患者は改善がなかったと見做された.

主な結果:このレビューの結果からは,メジャートランキライザーによって誘発されたTDの治療に対して,ベンゾジアゼピン系薬が臨床的に有用であるかどうかの明らかな解釈は得られなかった.このレビューで統合されたデータからは,TDの治療において,ベンゾジアゼピン系薬にプラセボを上回る明確な有効性は見出されなかった.副作用に関するデータはこれらの試験では報告されていなかった.

結論:メジャートランキライザーによって誘発されたTDの治療におけるベンゾジアゼピン系薬の有効性についての明らかな結論は得られなかった.


Citation: McGrath JJ, Soares KVS. Benzodiazepines for neuroleptic-induced tardive dyskinesia. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:中村和宏/堀 士郎,古川壽亮)