メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアに対する抗コリン剤投与

Anticholinergic medication for neuroleptic-induced tardive dyskinesia

Soares KVS, McGrath JJ

最終更新日:14/02/1997


目的:精神分裂病もしくは他の慢性の精神疾患において,メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアの治療に,抗コリン剤(ベンツヘキソール, benztropine, ビペリデン, オルフェナドリン, プロシクリジン, スコポラミン, トリヘキシフェニジル)の投与もしくは中止が臨床的に有効かどうかを判定する.

検索方法:Biological Abstracts, コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース, EMBASE, LILACS, MEDLINE, PsycLIT, SCISEARCHの電子検索.同定されたすべての研究の引用文献のハンドサーチ.包含された臨床試験の筆頭著者に連絡を取った.

選択基準:検索によって同定された報告の中で,メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアを呈した精神分裂病もしくは他の慢性の精神疾患の患者に関する比較試験で,抗コリン剤かプラセボ(または介入なし)投与のどちらかにランダムに割付けられているものを採用した.

データ収集と解析:確認された7つのランダム化比較試験からはデータは抽出できなかった.

主な結果:データを統合することはできなかった.必要な情報を提供してもらうために著者に連絡がとられた.現在のところ2つの研究(Friis 1983, Klett 1972)がデータが得られないために除外された.他の5つの研究(Double 1993, Elie 1972, Gardos 1984, Gerlach 1978, NDSG 1986)については,さらに著者からの情報を待っている段階である.

結論:現時点で入手可能な情報に基づけば,メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアの治療における抗コリン剤投与の有効性について明確なことは何も言えない.同様に抗コリン剤の中止についても明らかなことは何も言えない.メジャートランキライザーによって誘発された遅発性ジスキネジアに抗コリン剤の中止が有効かどうかは,充分な症例数を少なくとも6週間追跡し,プラセボを使用したランダム化比較試験で評価しなくてはならない.


Citation: Soares KVS, McGrath JJ. Anticholinergic medication for neuroleptic-induced tardive dyskinesia. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:中村和宏/堀 士郎,古川壽亮)