分娩第3期におけるシントメトリンとオキシトシンの予防的投与の比較

Prophylactic syntometrine vs oxytocin in the third stage of labour

McDonald S, Prendiville WJ, Elbourne D

最終更新日:17/10/1996


目的:エルゴメトリン-オキシトシン(シントメトリン)の筋肉内投与とオキシトシン5単位,10単位の単独投与が,分娩後の出血およびその他のあらかじめ決めた母体と新生児の結果のリスクを減少させる効果を比較すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:このレビューの目的に関連したランダム化比較試験をすべて見つけ出し,組み込みにふさわしいかどうか評価した.9研究が考察された.このレビューに関連するデータを含まない3研究が除外され,残る6研究が組み込まれた.

データ収集と解析:含まれた研究はすべて500ml以上の分娩後出血に関する情報を含んでいた.5研究は胎盤用手剥離に言及していた.最近の3研究では輸血の必要性,嘔気,嘔吐,高血圧といった母体の結果についてのデータを含んでいた.

主な結果:メタ・アナリシスからは,出血が1000mlを越えない場合はエルゴメトリン-オキシトシン(シンメトリン)は分娩後出血のリスクをわずかに減少させることが示唆される.この利点をエルゴメトリン-オキシトシン(シンメトリン)の使用に関連する嘔吐や高血圧といったかなりの副作用と比較して考察する必要がある.評価したその他の母体および新生児の結果には有意な差はなかった.

結論:合剤であるシンメトリン(エルゴメトリン-オキシトシン)をルーチンに行う分娩第3期の積極的管理の一環として使用することは,オキシトシン5単位と比較して分娩後出血のリスクの統計学的に有意な減少と関連している.オキシトシン10単位との比較ではこの利点はやや小さいがなお有意である.出血が1000ml以上の場合は5単位または10単位どちらを使用しても差はなかった.この利点をシンメトリンの使用と関連するよくある副作用と比較して考察する必要がある.副作用は嘔気,嘔吐や血圧上昇を含む.


Citation: McDonald S, Prendiville WJ, Elbourne D. Prophylactic syntometrine vs oxytocin in the third stage of labour. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:六車浩史/佐藤孝道)