原発性テント上脳内出血患者における手術療法

Surgical treatment in patients with primary supratentorial intracerebral haemorrhage

Prasad K , Shrivastava A

最終更新日:11/11/1996


目的:原発性テント上脳内出血患者において,日常的な医療管理に加えて手術を行った場合,日常的な医療管理単独に比べて救命,生存者の障害の減少が可能かどうかを調べる.

検索方法:関連するランダム比較試験は,コクラン脳卒中グループの詳細に基づく「検索方法」に記載された検索方法によって選ばれた.

選択基準:臨床的に推定できる患者(CT時代以前に)や,ランダム化以前にCTスキャンで確認された患者などの,原発性テント上脳内出血患者に,日常的な医療管理とそれに頭蓋内手術(開頭術,定位的な内視鏡下除去術や定位的な吸引)を加えたものを比較するランダム化,または準ランダム化比較試験を選んだ.

データ収集と解析:二人の評価者が方法論的に独立してレビューを行い,4例の関連するランダム化比較試験を選んだ.妥当性評価に関する観察者間の同意は良好であった(weighted kappa = 0.8).症例患者のデータ,すなわち手術の種類や死亡あるいは医療依存の点から見たアウトカムについて,二人の評価者が独立してレビューを行った.

主な結果:アウトカムの評価を盲検で行った試験はなかった.介入の性質と不均一性の検定の結果に基づき,効果の見積もりとしてそれぞれオッズ比や99%信頼区間(CI)を用いて,開頭術,定位的な内視鏡下除去術の効果を解析した.CTスキャンを用いた試験を別に解析しているならばこの結果が結論に達するものではないが,開頭術では,死亡と生存者の医療依存のオッズが増加する傾向にあった(オッズ比 1.99,99%信頼区間 0.92-4.31).定位的な内視鏡下除去術では死亡と生存者の依存状態のオッズが減少するように思われた(オッズ比 0.45, 99%信頼区間 0.15-1.33).

結論:CT時代の開頭術や定位的な内視鏡下除去術の役割については,ランダム化比較試験で十分に研究されていなかった.原発性テント上脳内出血患者において,定位的な内視鏡下除去術がおそらく期待できるであろうことを示す研究がひとつあるが,さらに有効性を正確に評価するため,そしてその処置により利益を被る患者のサブグループを決定するため,より大規模な試験での実証が必要とされる.


Citation: Prasad K , Shrivastava A. Surgical treatment in patients with primary supratentorial intracerebral haemorrhage. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/関口聡子,八森 淳)