急性外傷性脳損傷における副腎皮質ステロイド

Corticosteroids in acute traumatic brain injury

Alderson P, Roberts I.

最終更新日:19/05/1997


目的:急性外傷性脳損傷の治療における,副腎皮質ステロイドの有効性と安全性を定量的評価をすること.

検索方法:電子媒体;MEDLINE, Embase, コクラン・ライブラリと専門化されたデータベース検索.付加的なハンドサーチと研究者への接触.

選択基準:適切なもしくははっきりしない割付けの遮蔽がなされた急性外傷性脳損傷での副腎皮質ステロイド使用のすべてのランダム化比較試験.

データ収集と解析:割付けの遮蔽の質が点数化された.ランダム化された参加者の数,追跡不能数,追跡期間,致命率,能力障害,感染,胃腸の出血が独立して抽出され検討された.

主な結果:死亡のリスクにおける副腎皮質ステロイドの効果は,検討した13の試験で報告された.13の試験の集積オッズ比は0.91(95%信頼区間0.74〜1.12)であった.集積絶対リスク減少は1.8%(5.7%〜ー2.5%)で,死亡または重篤な傷害が報告された9つの試験では,集積オッズ比は1.01(0.82〜1.25)であった.感染の集積オッズ比は0.92(0.69〜1.23)であり,8つの試験では胃腸の出血が報告され,そのオッズ比は1.24(0.56〜2.73)であった.割付けの遮蔽のもっともよい質の試験のみを用いた場合,死亡に対するオッズ比は1に近づいた.

結論:ステロイドの適度の効果と害のどちらも除外できない.薬剤の広く使用される性質と,健康問題の重要性によって,このような場合,大規模な単一の試験は副腎皮質ステロイドに利点があるかどうかということを確立するために実行可能であり価値があるということを示唆している.


Citation: Alderson P, Roberts I.. Corticosteroids in acute traumatic brain injury. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:池田扶実子/後藤忠雄,大野茂樹)