喘息の急性増悪の治療における副腎皮質ステロイドの有効性:急性期の評価後の再発に対する効果に関するメタ・アナリシス

The effectiveness of corticosteroids in the treatment of acute exacerbations of asthma: a meta-analysis of their effect on relapse following acute assessment

Rowe BH, Spooner CH, Ducharme FM, Bretzlaff JA , Bota GW

最終更新日:26/05/1997


目的:喘息の急性増悪に対する評価と治療を行った後に急性期治療病棟(通常は救急病棟)から退院した喘息患者の治療のための副腎皮質ステロイド(経口,筋肉注射,静脈注射)の有効性を決定すること

検索方法:コクラン気道グループである‘Asthma and Wheez* RCT‘の文献は,以下の単語を使用して検索された.a)Asthma OR Wheez*,b)Glucocorticoid OR Steroid*,c)Exacerbat* OR Relapse* OR Emerg*.さらに,包含基準にあう未発表の研究が利用できないか決めるために,包含した研究の全ての著者に連絡を取った.包含した研究,既知のレビューや教科書の引用文献もまた追加の引用文献として調べた.

選択基準:ランダム化比較試験だけを選択した.退院時に副腎皮質ステロイドを使っていた喘息増悪の外来患者の治療を扱い,そして,再発率かPFTのどちらかが記載されたものならば,このレビューに含めた.2人の独立したレビュアーは,最初に関連性の高い研究を選び,その後包含する論文を選択した.方法論的な質は2人のレビュアーにより別々に評価された.レビュアー間の一致はカッパーテストを用いて評価した.

データ収集と解析:2人のレビュアーが独立してデータを抽出した.抽出したデータの照合と欠如した情報を明らかにするため著者に連絡を取った.著者との連絡がとれなかった場合は,可能であればグラフ上から欠如したデータを推測した.感度分析,サブグループ分析,そして全体の分析は,コクランReview Manager 3.0を用いて行った.

主な結果:229の文献が収集され,169(73%)の原著論文が同定された.レビュアーは包含する可能性のある8つの研究を同定し(k=0.76),18文献が文献の引用文献リストの調査や著者への連絡で付け加えられた.これら26の論文のうち,7つの論文がこのオーバービューに含まれた.2つの研究は副腎皮質ステロイドの筋肉注射,5つの研究は経口で副腎皮質ステロイドを使用していた.第1週中に再発し追加の治療を受ける患者は副腎皮質ステロイドを使ったグループの方が明らかに少なかった.(オッズ比(OR) 0.35,95%信頼区間(CI) 0.17〜0.73)この良好な結果は,最初の21日間以上続いた.(OR 0.33, 95%CI 0.13〜0.82)副腎皮質ステロイドを投与されている患者はβ-作動薬の必要が少なかった.(weighted mean difference(WMD) -3.3 activations/day, 95%CI -5.5〜-1.0)最初の7〜10日間の肺機能テストの変化(SMD 0.045, 95%CI -0.47〜0.56)と副作用(SMD 0.03, 95%CI -0.38〜0.44)は,報告は少ないが,治療グループ間で差が認められなかった.統計的に有意に差がある点は,副作用の結果と関係しており,他のすべてのアウトカムは均質であった.それは副腎皮質ステロイドの筋肉注射が7〜10日の経口剤を漸減するコースと同様に効果があることを示している.これらの結果から,喘息悪化後に追加の治療が必要となる再発を防ぐためには9人ほどの患者に対して治療することが必要である.

結論:喘息の急性増悪の評価後の短期間の副腎皮質ステロイド使用は,追加療法を必要とする再発人数を減少させ,副作用の明らかな増加を伴うことなくβ-作動薬の使用を減少させる.副腎皮質ステロイドの筋肉注射は経口薬と同程度の効果がある.


Citation: Rowe BH, Spooner CH, Ducharme FM, Bretzlaff JA , Bota GW. The effectiveness of corticosteroids in the treatment of acute exacerbations of asthma: a meta-analysis of their effect on relapse following acute assessment. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/橋本 淳,吉村 学)