帝王切開術における子宮切開の単層縫合と二層縫合の比較

Single versus two layer closure of uterine incision at Caesarean section

Enkin MW, Wilkinson C

最終更新日:22/01/1995


目的:帝王切開術における子宮切開の単層縫合の効果を,従来の二層縫合と比較するのが目的である.

検索方法:試験は,コクラン妊娠と出産グループの比較臨床試験特別レジスターから確認された.

選択基準:出版されたもの,未出版または進行中の試験で下記の判定基準にかなったものすべて.対象者:選択的もしくは緊急の帝王切開を施行された妊婦.方法:連続的に縫合する二層縫合と比較した,単縫合もしくは連続的な単層縫合.結果の評価基準:手術時間,止血,出血量,創傷治癒.

データ収集と解析:データは,判定者によって不公平さを排除する方法をとらずにそれぞれの試験から抽出された.

主な結果:手術時間は,単層縫合を施行した群で有意に減少した(5.6分).X線撮影による瘢痕像は(この検査の意味に関しては論争の余地があり,少しは意義があると言えるかもしれない),3ヶ月後の単層縫合群ではより欠損がすくなかった.追加で止血縫合を行うこと,子宮内膜炎の発生率,手術後のヘマトクリット値の減少,または輸血を行うことについて,統計学的に有意差はなかった.

結論:おそらく,手術の時間が短縮するのを除いて,ルーチンに単層縫合を行うことを正当化する利点はない.有害な影響も,これらの研究では認めなかった.おそらく,多施設での,より長い観察期間をおいた,より大きな試験が必要かも知れない.


Citation: Enkin MW, Wilkinson C. Single versus two layer closure of uterine incision at Caesarean section. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:大西優里/佐藤孝道)