禁煙に対する酢酸銀

Silver acetate for smoking cessation

Lancaster T, Stead L

最終更新日:20/05/1997


目的:禁煙を促進するための酢酸銀製剤(ガム,キャンディー様錠剤(lozenge),スプレー)の有効性を評価する.

検索方法:コクランタバコ嗜癖グループの登録文献から酢酸銀についてのランダム化比較試験を検索.

選択基準:禁煙に対する酢酸銀についてのランダム化比較試験で,治療開始から少なくとも6カ月以上,喫煙状況を調査している試験.

データ収集と解析:主要評価項目は6-12カ月時点での禁煙継続であった.データ抽出は2人のオブザーバーが行い交互にチェックした.

主な結果:2研究から,酢酸銀とプラセボにランダムに割付けられた患者での,長期観察データが得られた.うち1試験では,第3群として2mgニコチンガム治療にもランダム割付けが行われていた.2試験を結合した場合,酢酸銀による禁煙効果のオッズ比は,プラセボに対して1.05(95%信頼区間0.63-1.73)であった.

結論:これまでの試験結果では,酢酸銀が禁煙を促進するという特定の効果を裏付ける根拠はほとんど示されていない.オッズ比の信頼区間は非常に広い.有効な場合の信頼区間の上限の値は絶対値で約4%の禁煙率の増加を示しているが,この酢酸銀によるいかなる効果も,ニコチン置換療法よりは少ないと考えられる.酢酸銀の効果が低い理由には,不快な刺激性のためにコンプライアンスが低くなることが関与しているかもしれない.


Citation: Lancaster T, Stead L. Silver acetate for smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:八重ゆかり/村上智彦,名郷直樹)