頸動脈内膜剥離術中のルーチンまたは選択的な頚動脈シャント術と,選択的シャント術における異なるモニター法

Routine or selective carotid artery shunting during carotid endarterectomy and the different methods of monitoring in selective shunting

Counsell C, Salinas R, Naylor R, Warlow C

最終更新日:08/12/1994


目的:頸動脈内膜剥離術中のルーチンまたは選択的な頚動脈シャント術が,術中および長期のストロークと死亡を減少させるのかどうかを判定する.また選択的シャント術において患者を選択する際の最良の方法を確認する.

検索方法:3つの外科学雑誌をハンドサーチして補足したコクラン脳卒中グループの比較臨床試験特別レジスターと,MEDLINE,Embase,学会抄録をさらに詳しく検索した.

選択基準:ルーチンのシャント術とシャント術を行わないもの,あるいは別のシャント手段を比較したランダム化比較試験または準ランダム化比較試験を2人の著者が独立して選択した.

データ収集と解析:ランダム化,盲検性,交差法,脱落者,患者の特性,外科的術式の詳細を抽出した.何らかのストローク,同側性のストローク,死亡,他の手術による合併症(出血,感染,神経麻痺)などのアウトカムを手術直後と術後30日の時点で記録した.

主な結果:2つの研究はルーチンのシャント術とシャント術なしを比較していた(患者数590人).1つの研究はEEGと頸動脈圧の測定の組み合わせを指針としたシャント術と,頸動脈圧の測定のみを指針としたシャント術を比較した(患者数131人).データは限られていたが,ルーチンのシャント術とシャント術なしの比較では,すべてのストローク,同側性のストローク,死亡に関して2つのグループで術後30日までは有意差がなかった.EEGと頸動脈圧の測定を組み合わせたシャント術と頸動脈圧の測定のみのシャント術を比較すると,同側性のストローク起きる率に関しては,同様に有意差はなかったが,こちらもデータは非常に限られている.

結論:頸動脈内膜剥離において,ルーチンのシャント術を使うか,選択的シャント術使うかを支持するにしても却下するにしても現在利用できるデータには非常に限りがある.コントロール群としてシャント術なしを用いた大規模なランダム化比較試験が必要である.選択的シャント術に関して,よりよいアウトカムを生じるためのモニタリングの方法は何も示されなかった.


Citation: Counsell C, Salinas R, Naylor R, Warlow C. Routine or selective carotid artery shunting during carotid endarterectomy and the different methods of monitoring in selective shunting. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/橋本 淳 渡邊次夫)